ジャイアンツが欲しかった「ポスト坂本」、2度抽選を外してもブレなかった阪神 元巨人スカウト部長が明かすドラフト秘話
良い意味で裏切ってくれた戸郷
今年が7年目と時間はかかりましたが、今シーズンは大事な場面でよくホームランを打ちました。1位で根尾が獲れなかったことから指名されたと思いますが、今現在のプロでの成績は根尾を上回っています。
この年は前年とは対照的に、2位以下の5人が全員高校生の指名になりました。前年とのバランスということよりも、チームとして年齢層が高くなりすぎていたことのバランスを取ったのだと思います。その中で、先ほどの増田も今年ホームラン5本を打って戦力になってくれましたし、4位の横川凱(大阪桐蔭)も貴重な左腕として戦力になってくれています。大型左腕ということでもちろん評価はしていましたが、大阪桐蔭のあの代はエースが柿木蓮で、その次が根尾で横川は三番手でした。それが結局プロで一番勝っているのが横川です。よく頑張ってくれていると思います。
この年獲った高校生の中でも、やっぱり6位の戸郷翔征(聖心ウルスラ学園)ですね。私も宮崎に観に行きましたが、確かに投げているボールは凄い。でも山本由伸を見た時と同じ印象でアーム気味の手投げが引っかかりました。あの投げ方だと故障するのではないかという不安が拭えず、S、Aの次のBランクという評価でした。順位も6位でしたし他球団もほとんどノーマークだったのではないでしょうか。球団としても、正直そこまで期待が高かったわけでもなかったと思います。それが1年目の終盤には一軍で先発し、2年目には9勝するなど早くに出てきて、その後はエース格に成長してWBCで投げるまでになりました。良い意味で裏切ってくれた選手です。
今シーズンはちょっと苦しみましたが、これからどうなるかが問題ですね。
高く評価出来なかった、万波のある「癖」
万波はいわゆる0か100かというタイプの選手。日本ハムは4位で指名しましたが、もっと下の順位で残っていたら、巨人も指名を考えたかもしれませんね。
それにしても、万波は新庄剛志監督になってから大きく成長しました。日本ハムもよく育てたと思いますし、新庄監督の指導も良かったのでしょう。良い監督と巡り会えたことも大きかったように思いますね。
金足農の吉田輝星(現オリックス)も甲子園であれだけ活躍しましたから、当然上位候補として名前は挙がっていました。でもこの年は根尾で行く方針でしたから、1位で名前が呼ばれるであろう彼とは縁がなかったですよね。
清宮同様、やっぱり甲子園のスターには魅力があります。プロなのですから、人気という部分も当然選手評価の対象になります。実力があればスターになる可能性はありますが、甲子園のスターには「スーパースター」になる可能性がありますから。
育成1位で獲った健大高崎の山下航太は高校時代から評判のバッターでした。1年目にファームで首位打者を獲得し、球団史上初めて高卒1年目で支配下登録されて、一軍でもヒットを打ちました。期待も大きい選手でしたが、2年目に怪我をしてしまいシーズンを棒に振り、その年のオフにまた育成に戻りました。結局プロでは結果を残せずに今は社会人野球で頑張っているようです。
他球団の選手も含めて、高校生の評価は難しいということを思い知らされたドラフトでもありました。