「1位指名佐々木麟太郎→外れ1位小田康一郎」 DeNAのドラフトが象徴するセ・リーグにDH制導入の影響

西尾典文

結果的に抽選で外れたものの、DeNAが守備に難のある佐々木を1位指名するなど、今年のドラフトではセ・リーグ球団の指名に変化が見られた 【Photo by Karen Hickey/ISI Photos/Getty Images】

 2027年シーズンから、セ・リーグでもDH制が採用されることが決まった。その影響は今年のドラフト会議にさっそく現れたのだろうか。守備には難があるが、長打力を秘めたスラッガーに対する評価が例年以上に高まり、上位指名されるケースは増えたのか。セ・リーグ6球団の指名から、変化の兆しを読み取る。

27年のDH導入を見越した佐々木の1位指名

 支配下で73人、育成で43人の合計116人が指名された2025年のプロ野球ドラフト会議。事前に話題となっていたのが、27年からセ・リーグでも指名打者(DH)制の導入が決定したことによる影響だ。

 すでに導入されているパ・リーグに比べて、セ・リーグの球団は打力はあっても守備力の低い選手は避ける傾向が強いというのが定説となっていた。しかし、両リーグの条件が同じになったことで、セ・リーグ球団の指名に変化が見られるのではないかと言われていたのだ。

 果たして、結果はどうだったのか。様々な意見はあるだろうが、結論から言うと変化はあったという印象を受ける。

 それを象徴しているのが、DeNAの佐々木麟太郎(スタンフォード大/一塁手)の1位指名だろう。

 佐々木については花巻東高時代からその長打力は圧倒的なものがあり、プロ志望なら1位指名が確実視されていた選手である。ただ、守備位置はファーストで、脚力や肩の強さに関してはドラフト候補と呼ばれる選手の中でもかなり低い水準と見られていた。渡米後もその点は劇的に変化しているようには見えず、このままプロ入りしたとしてもファースト以外の守備位置につく可能性は低い。

 そんな佐々木を、結果として抽選で外したとはいえ(ソフトバンクが交渉権を獲得)、セ・リーグのDeNAが1位で指名したのは、やはり27年のDH制導入を見越してのことだったのではないだろうか。

DeNAの小田は仮にサードが厳しくても

DeNAが外れ1位で指名したのは、パンチ力に秀でた青学の小田。守備が抜群に上手いという印象はないが、DH制であればその打撃力を活かせる 【写真は共同】

 DeNAのそうした思惑は、佐々木を外した後に小田康一郎(青山学院大/一塁手)を指名しているところにも感じられた。

 小田は現在の大学球界最強チームと言える青山学院大で1年春から活躍しているが、下級生の頃は指名打者での出場が多く、現在も主にファーストを守っている。高校時代はサードとピッチャーも兼任しており、チーム事情からファーストを任されているという話も聞くが、現在のプレーぶりを見ても守備が抜群に上手いという印象はない。バウンドの合わせ方などに不安が残り、プロに入れば守備力は水準以下と見なされる可能性が高い。

 実際、小田を視察していたスカウト陣からは、「他のポジションを守れるか見極めるように言われているが、難しいのではないか」という声も聞かれた。

 DeNAのチーム事情を考えると、宮崎敏郎、筒香嘉智のベテラン2人が守ることが多いサードに挑戦させるというプランはありそうだが、仮にサードが厳しいとなった場合でも、DH制があればその打撃力を生かせるということが、外れ1位で小田を指名する後押しになった部分はあったはずだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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