MLBポストシーズンレポート2025

「大谷翔平がトロントへ!?」かつての誤報騒動を経てワールドシリーズで激突! 破壊力ナンバーワンのブルージェイズ打線が立ちはだかる

丹羽政善

ワールドシリーズに向けてトロントで調整する大谷翔平。ブルージェイズの超強力打線をいかに抑えるか 【Photo by Cole Burston/Getty Images】

誤報騒ぎに菊池雄星も困惑?

 あのときは、ブルージェイズ? と首を傾げたが、結局は大谷翔平(ドジャース)の目利きが正しかったということになるのか。将来性を視野に契約を真剣に考えたのだから。

 いまでもあの日のことはよく覚えている。

 ナッシュビルで行われていたウィンターミーティングの取材を終えてロサンゼルスへ。そこで一つインタビューを終え、日本への帰国便に乗り込んだ。2023年12月8日のことである。

 搭乗直前、「大谷がトロントへ向かい、今日にも契約か?」という噂をツィッターなどで目に。ロサンゼルスの地元記者とMLBネットワークのジョン・ポール・モロシ記者が発信源だった。

 ロサンゼルスの記者だけであれば、気にすることもなかった。当該記者に情報を知り得る特別なコネクションがあるとは聞いたこともない。ただ、モロシ記者となると話は別。生粋のスクープ記者である。飛行機の席に座り、離陸までの間、少し時間があったのでモロシ記者に連絡をすると、「自信がある」とのこと。

「早ければ今日の夜、遅くとも明日には分かるだろう」

 彼がそこまで言うなら・・・と覚悟した。

 その後、当時ブルージェイズに所属していた菊池雄星(現エンゼルス)にもLINEを送ると、こんな返信があった。

「きょうは寿司屋に行かず、ハヤシライスを食べました」

 そのときすでに飛行機は離陸。機内ではLINE、iMessageならやり取りが可能だが、インターネットはできない。

 何かの暗号か? 隠語? 菊池は何を伝えようとしているのだろう?

 悶々とする中、知り合いの記者に「菊池からこんなメッセージが来たんだけど」と伝えると、「菊池がトロントの寿司屋を予約して、大谷を歓迎するという噂が広まっています」と教えてくれた。

 菊池の返信はそれを否定していた。

 かといってブルージェイズ入りまで否定したわけではなかったが、同じ記者から「大谷が乗っていると思われ、みんなが追跡していたオレンジカウンティからのプライベートジェットから降りてきたのは、別人でした」という連絡が来た。

 誤報だったのである。

 モロシ記者にメッセージを送ると「今回は自分のミスだ」という返信があり、日本に着いた翌朝、大谷が自身のインスタグラムでドジャース入りを報告した。

 もっとも大谷はフロリダ州にあるブルージェイズのキャンプ施設までわざわざ足を運び、真剣にオファーを検討。それだけポテンシャルがあると感じたのだろう。今回、こうしてワールドシリーズで相見(まみ)えるのだから、そのことが証明されたとも言える。

ア・リーグの優勝決定シリーズ、筆者は思い入れをもって試合を見つめた 【Photo by Cole Burston/Getty Images】

 実際、いいチームだった。実は今回、ア・リーグ優勝決定戦ではマリナーズを応援していた。メディアとしては本来、中立であるべきで、イチローさん(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)を取材している頃はそれを常に心がけたが、マリナーズを取材しなくなってから距離感が変わった。何しろ、ほぼ30年もシアトルに住んでいるのである。親近感が沸かないはずがない。

 監督はダン・ウィルソン。打撃コーチはエドガー・マルチネス。1995年、シアトルに引っ越してきて、ファンとしてマリナーズの試合を見るようになった当時の主力である。ジョージ・カービー、ローガン・ギルバート、カル・ローリーら、取材を通して顔見知りになった選手もいる。

 ここまできたら、勝たせてあげたい――。

 しかし、わずかに届かなかった。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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