「コート上の監督」が日本一似合う159センチの25歳セッター 中川つかさの武器と魅力、矜持とは

田中夕子

内容を伴う好スタートを切ったチームの中でセッターの中川(中央)が笑顔を見せる 【写真提供:SV.LEAGUE】

快進撃のチームで存在感を示す小柄な司令塔

 開幕から4連勝(23日現在)。しかも失セット0。

 10月10日に開幕した女子バレーSVリーグで、首位を走るのがNECレッドロケッツ川崎。今夏、タイで開催された世界選手権で4位に入った日本代表の主軸を担った佐藤淑乃や山田二千華。ケガでSVリーグではまだ出場機会はないがオポジットとして活躍が期待される和田由紀子といった国際経験豊富な選手が揃う中、連勝スタートに大きく貢献する働きを見せているのが、同じく世界選手権にも出場したセッターの中川つかさだ。

 身長は159センチと小柄だが、金蘭会高、東海大ではそれぞれ春高、全日本インカレで連覇も達成した。アンダーカテゴリー代表も含め国内外のキャリアは豊富、昨シーズンからはNEC川崎でも司令塔として出場機会を重ね、今季も開幕のSAGA久光スプリングス戦からスタメン出場を果たし、攻撃のタクトを振るった。

 どのポジションからも得点を取れる選手が揃う中、開幕戦の序盤、中川が積極的にセレクトしたのが今季から加入したアウトサイドヒッターのジョバンナ・ミラナ・デイの攻撃だった。相手のサーブターゲットにされ、守備が乱れるシーンも続いたが、レシーブが崩れても攻撃まで時間をつくれるように、少し間をとって高いトスを上げ、体勢を立て直したデイが打つ。ミスになる場面もあったが、辛抱強く何度も何度も中川が使い続けたことで調子を上げ、3対0で勝利し、デイは両チーム最多の18得点を挙げた。

開幕前の不安、味方との駆け引き

大学卒業後の2023年にNEC川崎に入団した中川。「自信」と「不安」を抱えて今季開幕を迎えた 【写真提供:SV.LEAGUE】

 まさに狙い通りの快勝スタートとなったが、試合後の取材に応じる中川の表情は少々険しい。

「開幕に向けて、自信だけでなく不安もありました」

 デイだけでなく対角の佐藤も22本打って11本を決め、オポジットのシルビア・チネロ・ヌワカロールも26本打って14点。ミドルブロッカーの甲萌香にも11本、山田に8本と攻撃も偏ることなくまんべんなく使っているように見える中、何が不安だったのか。

「新しいチームになって、スタートからどういう形で出るかわからない。スタートダッシュを切れるかもしれないけれど、うまくいくかもわからない。それが一番不安でした」

 中川が口にする「不安」は決して消極的だから発する言葉ではない。むしろ何を求めるか。その高さに自分のプレーが対応できるか。チームとして構築していけるのか。高みを目指すからこその「不安」であり、解消するにはどうするか。その策を彼女自身が知っている。

 探り探りだった、というスタートでデイにトスを集めた理由も明確だった。

「シッソ(ヌワカロール)は昨シーズン東レでプレーしていたので、どういう選手かわかっていたんですけど、ジア(デイ)はスタートからどういうプレーをする選手で、どんなパフォーマンスをするのかセッターとして見たかった。相手よりもまず、味方と駆け引きをしていました」

 ネットを対峙した相手だけでなく、味方と駆け引きして、いかに乗せるか。それこそが、まさに中川が持つセッターとして武器であり、面白さだ。

1/2ページ

著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント