MLBポストシーズンレポート2025

「勝利投手が3本塁打」打者・大谷翔平はなぜ目を覚ましたのか? “ポストシーズン史上最高”異次元の男に鳥肌が立つ理由

丹羽政善

改めて考える「なぜ大谷翔平は“特別”なのか?」

投手・大谷翔平も六回まで10奪三振の快投を見せた 【Photo by Nicole Vasquez/MLB Photos via Getty Images】

 さて、もちろん、この日は打つだけではなかった。

 七回に2人の走者を許して降板したが、六回まで10三振の快投。四回に1死三塁のピンチを招いたが、そこでギアを上げると、ウィリアム・コントレラス、ジェイク・バウアーズを連続三振に仕留め、得点を許さなかった。

 そんな投打でのパフォーマンスについてデイブ・ロバーツ監督は、「ポストシーズン史上最高」と形容したが、それを伝えられた大谷が、「トータルで見たらそうなのかなとは思うんですけど」と言いつつも、こう続けたのが彼らしかった。

「七回に2人ランナー残してアウトを取れずに帰ってきているので、あそこを抑え切れれば完璧だったのかな」

 3本塁打を放ち、六回まで無失点に抑えてなお、不満が残った。

 それにしても今後、こんな選手が出てくるのだろうか。

 2022年、ジャイアンツはレジー・クロフォード(全体30位)、23年にブライス・エルドリッジ(全体16位)という二刀流選手をそれぞれドラフト1位で指名した。

 しかしながらいま、クロフォードは投手に、エルドリッジは打者に専念している。

 2人を指名したのは、当時ジャイアンツのGMだったファーサン・ザイディだが、彼はいま、ドジャースの特別顧問を務めている。その彼に「やはり、二刀流は難しいのか? 」とこの日の試合前に聞くと、まず、二刀流ができるかどうか、必要な要素として2点を挙げた。

①最高レベルの才能と精神的な強さの育成

②フィジカルの負荷、耐久性

 ただ、2人を育成し始めて、壁の大きさに気づき、断念した。

「やはり、育成の難しさがある。何より身体への負担が大きい」

 医師や整形外科医からもそうした課題を指摘され、「パフォーマンスに影響するだけでなく、健康リスクそのものを孕む」という結論に至ったのだという。

 ザイディ特別顧問の証言については、日を改めて詳しく紹介したいが、「だからこそ、翔平は特別なんだ」と強調した。

「とにかく驚異的。他にも才能のある選手はいるが、日々の二刀流の負荷に耐え、両面において高いレベルで結果を残すフィジカルとタフさを持ち合わせているのは本当に特別」

 ワールドシリーズ出場を決めたこの日の一戦。大谷の異次元ぶりが改めて際立ち、それが結局は、鳥肌の正体だったのかもしれない。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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