MLBポストシーズンレポート2025

山本由伸のMLB初完投につながった修正ポイントとは? 大谷翔平の打撃が崩された要因をデータから探る

丹羽政善

大谷翔平はなぜ打撃を崩されたのか?

7回に貴重なタイムリーを放った大谷だが、本来の打撃は取り戻せていない 【Photo by Mary DeCicco/MLB Photos via Getty Images】

 ところで、山本を楽にしたのが大谷翔平(ドジャース)。

 七回、1死三塁で打席に立つと、ブリュワーズは、昨日先発して1イニングを投げた左のアーロン・アシュビーにスイッチ。大谷は追い込まれたものの、かろうじて前進守備の一、二塁間をゴロで破り4対1に。これで半ば試合が決まった。

 とはいえ、この日も3三振。地区シリーズから数えて、25打数2安打、12三振。もちろん、本塁打もゼロ。

 なぜ、ここまで抑えられているのか?

 サンプルが少ないが、フィリーズとの4試合、ブリュワーズとの1試合、計5試合のヒートマップ(相手がどこに投げたか。赤が濃いほど球数が多い)を確認すると、相手は内角を中心に攻めていることがわかる。

全投球のヒートマップ 【参照:Baseball Savant】

左投手のシンカーのヒートマップ 【参照:Baseball Savant】

 全投球のうち33.7%が左投手のシンカーなのだが、より内角攻めの傾向が強くなっている(上図参照)。

 実はこの攻め、少々意外だ。というのも、大谷は本来、インサイドに強く、左投手のシンカーに絞ると、2021〜25年の平均打率は.356。投げるなら、低めか外角が鉄則なのだ。

大谷翔平と対戦した左投手の2シームのデータ(2021〜25) 【参照:Baseball Savantのデータを元に筆者作成】

 本来、リスクがあるコースなのに、なぜ、内角攻めを徹底しているのか。

 こういうケースで考えられるのは、大谷の体を早めに開かせること。右肩だけではなく、体全体を開かせ、外角を遠く見せる。実際、外角の見逃しが多いが、とにかく大谷の体勢を崩そうという試みであることがわかる。

 それは、フィリーズには、左のクリストフェル・サンチェス、ランヘル・スアレス、ヘスス・ルサルドという3人の好投手がいたからこそ、可能だった攻めでもあるが、大谷は、その策に翻弄された。

 というのも、改めて映像を確認したが、結構、甘い球も打ち損じている。体が開き気味だったことと、無縁ではないのではないか。

 ブリュワーズ戦でもまだ、それを引きずっているような感じ。この日の5回の三振など象徴的で、内角の真っ直ぐをファールにした後、高めの真っ直ぐを空振り。右肩が開いていた。八回の三振も外角のスライダーに完全に体が泳いだ。

 山本が復調したのとは対照的に、まだまだ大谷は、本来の打撃を取り戻せないでいる。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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