日本との深い“縁”でつかんだベイカレントクラシックV 東京五輪金のシャウフェレが10勝目を振り返る

北村収

苦しかった今シーズンを救ったのは“チームの力”

 2024年にメジャー2勝を挙げたシャウフェレ。世界ランキングも2位まで順位を上げ、2025年はさらなる活躍が期待された。ところが今季は苦難の一年となった。シーズン序盤、1月の開幕戦出場後に肋骨を痛め、約2カ月間ツアーを離脱。3月に復帰するも優勝争いに絡むことは一度もなく、フェデックスカップ・ポイント上位30名だけが出場できるツアーチャンピオンシップの出場権も逃した。

「今年はケガもあり、シーズン序盤に試合数が少なかったこともあって、少し難しい年でした」と「ベイカレントクラシック Presented by レクサス」開幕前に振り返り、「自信を少し取り戻すこと」を目標に日本での戦いに臨んだ。

 見事、最高の結果で日本での戦いを終えたシャウフェレは優勝会見でこう語った。

「世界のトップ選手として戦っていて、自信を失うようなこともありました。そんな時、僕のチームが助けてくれました」と、支えてくれたチームへの感謝を述べた。そして、「思ったよりも早く優勝することができたので、2025年は素晴らしい年になりました」と胸を張った。

優勝が決まりチームの一人であるキャディのオースティン・カイザー氏とガッチリ握手 【Photo by Yoshimasa Nakano/Getty Images】

2週前のライダーカップの経験が自信を取り戻すきっかけに

「ライダーカップではいいプレーができたと感じているので、その良い流れを続けたいです」。これも開幕前に語っていたコメントだ。シャウフェレは2週前のライダーカップ(米国チーム対欧州チームの対抗戦)で好調なプレーを見せた。キャメロン・ヤングとともにチーム12名の中で最多の3ポイントを獲得。日曜日のシングルスでは元世界ランク1位のジョン・ラームを4&3で下すなど圧巻のプレーを見せた。「重要な局面で良いショットを打てました」と振り返っていた。

ライダーカップでのシャウフェレ。米国チームで最もポイントを稼いだ 【Photo by Maddie Meyer/PGA of America/PGA of America via Getty Images】

 この経験は日本での戦いにも好影響を与えた。「少しずつ自信はついてきています。ただ厄介なもので、積み上げるのには時間がかかるけど、失うのは一瞬です。なので、一つ一つ積み重ねて、少しずつ成長していくように意識しています。今のところ、うまくできていると思います」と開幕前に語ったシャウフェレ。丁寧に積み上げた努力が、再び勝利という最高の形で実を結んだ。

息子の誕生がもたらした精神面での変化も、勝利を呼び寄せた

 今季の前半は不調に苦しんだが、決して悪いことばかりではなかった。何よりも嬉しかったのが、8月29日に待望の第一子・ビクター君が誕生したことだ。

 シャウフェレは優勝会見で、「間違いなく精神面での変化がありました。まだ息子は6週間ほどなんですが、彼のためなら何でもできると思えます。これまで感じたことのない感覚で、言葉ではうまく説明できませんが、とても新鮮で、父親になるということが本当にクールだと感じています。このあと帰って、ビクターとマヤに会うのが楽しみです」と語った。

 息子の誕生後に初めて出場した大会であるライダーカップでは、チーム内で最も多くのポイントを獲得。そしてその流れのまま臨んだ初のトーナメントで見事に優勝を果たした。

 シャウフェレの取材で筆者がいつも感じるのは、家族やチームへの深い愛情、そしてその絆の強さだ。勝利の裏に常にあるのは、才能だけではなく、人とのつながりを何より大切にする姿勢である。

 父となり、ゴルファーとしても最高の輝きを見せてくれたシャウフェレ。家族、チーム、そして日本との深いつながりが、シャウフェレのゴルフ人生をより豊かで揺るぎないものにしている。その姿は、ゴルフの素晴らしさだけでなく、人を思い、支え合うことの尊さを、日本のファンにも伝えてくれている。

母・ピンイーさん、父・ステファンと一緒に記念撮影をするザンダー・シャウフェレ 【Photo by Yoshimasa Nakano/Getty Images】

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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