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“プロ中のプロ”ミルナーが認めた三笘の姿勢と実力「カオルの能力はアンビリーバブルだ」

森昌利

今季中にプレミア最多出場記録を更新か

ミルナーは今季がプロ24年目。ここまでリーグ戦7試合中5試合でプレーし、マンチェスター・C戦でPKを決めて約6年ぶりに得点を挙げるなど健在ぶりを示している 【Photo by Robbie Jay Barratt - AMA/Getty Images】

 最初は怪訝(けげん)な顔をしたチャーリーだが、試合後の慌ただしい取材エリアにミルナーが現れると、「日本人記者が君と話したがっている」と伝えてくれた。来年の1月4日に40歳になるベテラン選手は一瞬“なぜ俺に?”という顔をしたが、視線が合った瞬間、「2001年に取材を始めたので、あなたの初ゴールは鮮明に覚えています。取材を続けるだけでも大変ですが、あなたは選手としてプレーを続けている。どうしたらその素晴らしいフィットネスを保つことができるのでしょうか?」と話しかけた。

 するとミルナーはニコッと微笑んでまず、「ハードワーク!」とキッパリと言った。

 そして「もちろんクラブが後押ししてくれているよ。フィジオやスポーツ・サイエンティストが体調を維持するためにしっかり助けてくれている。チームの一員でいたいという気持ちが強いんだ。その気持ちを大切にして、自分をキープ・プッシュイングして(せき立て続けて)いる。そのうえでしっかり試合で貢献して、チームの順位が上がっていってほしいんだ」と続けた。

 その一言一言がバルセロナ戦でのあの姿をはじめ、ミルナーの素晴らしいキャリアと重なった。

 特に「チームの一員でいたいという気持ちが強い」という言葉にしびれた。いつまでも愛するフットボールの一部でいたいという気持ち。もちろん、年齢は敵だ。けれどもこのひたむきな気持ちと、プレミアリーグの試合に出場するコンディションを保ち続ける地道なハードワークが、ミルナーの背中をプッシュしつづけるのだろう。

 ミルナーはプレミアリーグでの出場シーズン記録を24まで伸ばして、この部門で史上最多選手となっているが、元イングランド代表MFガレス・バリーの持つ史上最多出場記録653試合にも、あと10と迫っている。順調なら今季中にも新記録を達成できるだろう。

ミルナーは三笘への賛辞の言葉を並べた

ミルナー(右端)は三笘のプレミア2年目にあたる2023-24シーズンにリバプールから移籍。以来、日本人MFのプレーと成長ぶりを間近で見てきた 【写真:REX/アフロ】

 そして無論のこと、この頼りになる鉄人に三笘について聞いた。その返答をここに全て記したい。

「カオルはトッププロフェッショナルだ。普段の練習からハードワークを厭わない。ジムでも本当にハードに鍛えている。そしてその能力はアンビリーバル(信じられないほど)だ。誰もが言うことかもしれないがファンタスティックなドリブラーだね。あのドリブルは本当にカオルの強力な武器だ。あれほどの超一流のドリブルだから、チェンジ・ゲーム(試合を変えること)を可能にする。フットボールの試合に勝つためにはカオルのような選手が必要なんだよ。一緒にピッチに立っていて、ファンにものすごく愛されているのも分かる。もっともっとゴールが奪えるはずだ。それだけの能力が間違いなくある。それにこれは言うまでもないことかもしれないが、ブライトンにとって本当に不可欠な選手なんだ」

 日本人記者として本当に感動した。もちろんこれまでに幾多の人たちが三笘を称賛したが、ミルナーのような“本物中の本物”に「トッププロフェッショナル」と認められたのだ。そして、「信じられない能力の持ち主」「ファンタスティックなドリブラー」「試合を変える選手」など、超一流のキャリアを持つミルナーの証言を聞いて、宙に浮かびそうな気持ちになった。

 ここまでミルナーが絶賛した三笘がいなかったことで、この日のブライトンはどこかバランスが悪く、ちぐはぐだった。

 しかも不運なオウンゴールで先制点を与えてしまい、最下位に沈むウルバーハンプトンがこれで妙に自信をつけて試合は膠着(こうちゃく)した。それでもDFヤン・ポール・ファン・ヘッケが試合終了間際に闘魂のヘディングで同点弾を奪って、やっとのことで1-1のドローとした。

 そんなブライトンにとっては今ひとつの結果に終わった第7節が、ミルナーと話せたことで特別な試合に変わった。普段は三笘に話を聞くため、取材エリアを通り過ぎるミルナーを横目で眺めるばかりだったのだが、この日は日本代表MFが不在だったため念願の取材が叶うことになった。

 24年間、「いい選手だなあ」と見つめ続けてきた39歳のイングリッシュは、言葉を交わしてみると、少年のようにはにかんだ微笑みを浮かべて話す人で、そのプレーからにじみ出る情熱と無骨さとの対比で、こんな男が友人だったらいいなと思わせる、非常に魅力的な人物だった。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1962年3月24日福岡県生まれ。1993年に英国人女性と結婚して英国に移住し、1998年からサッカーの取材を開始。2001年、日本代表FW西澤明訓がボルトンに移籍したことを契機にプレミアリーグの取材を始め、2025-26で25シーズン目。サッカーの母国イングランドの「フットボール」の興奮と情熱を在住歴トータル30年の現地感覚で伝える。大のビートルズ・ファンで、1960・70年代の英国ロックにも詳しい。

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