“プロ中のプロ”ミルナーが認めた三笘の姿勢と実力「カオルの能力はアンビリーバブルだ」
思い入れのある39歳ベテラン戦士に話を聞くために
ブライトンの広報担当チャーリー・ハンソンが怪訝(けげん)そうな顔をしてそう言った。
アウェーのウルバーハンプトン戦。三笘薫はリーグ戦で今季初、昨季5月4日のニューカッスル戦以来となるリーグ戦ベンチ外となっていた。
試合後の会見でファビアン・ヒュルツェラー監督が、「左足首の怪我。しかし軽症で代表ウイークが終了するころにはチームに復帰してくれると思う」と欠場の理由を語ったが、そのハーフタイムに筆者がブライトン側のミックスゾーン・チケット(取材エリアに入るための許可証)を管理するチャーリーにチケットを所望すると、冒頭の言葉が返ってきた。そして「いったい誰の取材がしたいんだ?」と聞かれた。
筆者は「ジェームズ・ミルナー」と意中の名前を言った。
8月31日のマンチェスター・シティ戦で、プレミアリーグの最年長ゴール記録の歴代2位となる同点PKを決めたことで、9月最初のコラムでミルナーに関して述べた。2002年12月に当時のプレミア最年少記録を更新する16歳356日でゴールを奪った39歳ベテラン戦士のキャリアは、彼がデビューする一季前から発祥国の熱いフットボールと本格的に対峙しはじめた筆者の取材歴とほぼ重なり、個人的に非常に思い入れの強い選手なのである。
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ジェラードと同じ匂いのする選手
それは、あの激しい試合で開始から走り続けたミルナーが、自軍の右コーナーでアルトゥール・メロとセルジ・ロベルトの2人に競られて前のめりに倒れ込んでも両足でボールを挟み込み、体を張ってキープした姿だった。
あれこそまさに、いぶし銀ミルナーの真骨頂を表した瞬間だったと思う。
イングランド北東部、ヨーク地方リーズ出身。朴訥(ぼくとつ)で言葉は少ないが、ピッチの上では激しく、常にひたむきに、真摯に、そして果敢にボール追い続ける。誰もが自分のチームにいてほしい願う選手。スティーブン・ジェラードと同じ匂いのする選手。バトル(戦い)を制するために不可欠な選手。本当に頼りになる選手。それがミルナーなのだ。
そんな勇気とガッツ溢れる、発祥国のフットボーラーとしてお手本のような気質とプレースタイルを持ちながら、素晴らしいクオリティとセンスの持ち主でもある。だからこそ、リーズでプレミア最年少ゴール記録(現在は史上2位)を打ち立てた少年フットボーラーは、その後クラブの降格、破産によりニューカッスルに移籍したのを皮切りに、アストン・ヴィラ、マンチェスター・C、リバプールと、ブライトンに移るまでイングランドの名門・強豪クラブを渡り歩いた。
そしてそのフットボールIQの高さとセンスの良さを証明するかのように、トップレベルのクラブで中盤ならどこでも、加えて3トップの右・左、そしてサイドバックに至るまで、さまざまなポジションをこなした。
2017-18シーズンの欧州チャンピオンズリーグでは、決勝に進んだリバプールの選手として9アシストを記録。ヨーロッパの最高レベルで同シーズンのアシスト王となった。この事実からも彼が技術的に卓越したフットボーラーだということが分かる。