同じ7番でもこんなに違う!ロフトとクラブの長さで見極める「アイアン選びの基礎」

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アイアン選びは、ヘッドの素材や構造の違いだけでなく、ロフト設定やクラブの長さといった基礎的な要素を考慮する必要があります。特に、アイアンのロフト角がストロング化し、クラブの長さもモデルによって異なる現代の市場では、何を基準に選ぶかが非常に重要です。

ゴルフライターの鶴原弘高さんが、アイアンの選びの基準となるロフト角のトレンド、クラブの長さと重さについて解説します。

ロフト角の最新トレンド

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現在、アイアンはヘッド構造や素材が多様なだけでなく、ロフト角も大きく異なっています。

特筆すべきは、アイアンのロフトが時代と共に立ってきた(ストロング化した)ことです。今市場に出ているアイアンの7番の平均ロフト角は、30°を切って29°台になっています。昔は7番で34°〜35°程度だったことを考えると、大きな流れです。例えば、フォーティーンのアイアンは7番が30°であることを公言しています。

ロフト角のトレンドについて、スポナビGolfが読者に行ったアンケート(回答数約1,700人)の結果は以下の通りです。

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約半数のゴルファーが31°〜33.5°を使用していますが、近年34°以上のモデルは非常に少なくなっています。タイトリストの最新アイアン「T100」は7番で33°、ダンロップ「スリクソン ZXi」シリーズ(ZXi5、ZXi7)も34°以上には該当しません。その中で、「ミズノ Pro S-1」「ミズノ Pro S-3」などは今でも34°以上を維持しています。

また、超ストロングロフト(7番で27.5°まで)のモデルを使用しているゴルファーも一定数いることが分かります。

ロフトが立ってきた理由

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7番アイアンのロフトがストロング化してきた最大の理由は、ゴルファーの「7番アイアンでももっと飛ばしたい」という要望に、メーカーが応えたことです。

また、昔は軟鉄などの鉄の塊のヘッドしか作れませんでしたが、現在はキャビティやポケットキャビティといった異素材を組み合わせる技術進化により、ロフトを立てても球が上がりやすいアイアンを作れるようになりました。

なかにはヤマハ「inpres UD+2」のように7番で25°といった超ストロングロフトモデルも存在します。こういったアイアンは試打で「今までより10〜20ヤード飛ぶ」といった結果が出るため、ストロングロフトのアイアンは人気です。

アイアンは飛距離だけを追求すべきか?

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しかし、「アイアンは飛べばいいのか?」というと、そうではありません。アイアンは距離を打ち分けるために番手があり、高い球を打って止めるのが本来の役割です。ロフトが立ちすぎていると球は浮きにくく、止めづらくなります。

また、ロフトの立ちすぎた7番アイアンを使うと、6番や5番がさらに打ちづらくなることも頭に入れておく必要があります。

アイアン選びの鍵となる「クラブの長さ」

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アイアンを選ぶ際は、ロフト角だけでなくクラブの長さも必ずチェックしてください。メーカーやモデルによってアイアンの長さが違っているからです。

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例えば、「プロギア 03 アイアン」(7番ロフト26°)は、スチールシャフトで37.75インチと、やや長めに設定されています。

一方、同じプロギアのアスリート向けモデル「プロギア 01 アイアン」(7番ロフト32°)は36.75インチです。同じ7番でも1インチ(約2.5cm)の差があり、構えた時の当てやすさに影響します。短いクラブの方が当てやすいため、やさしくなるからです。

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なお、タイトリストのTシリーズアイアンのように、ロフト角は異なる(29°〜33°)ものの、クラブ長はすべて37インチに統一されているモデルもあります。タイトリストは、ロフトは違うけどヘッド構造などで弾道の最高到達点が同じになるように設計しています。ロフトが立っているからといって、必ずしも球が上がらないわけではありません。

ヘッドスピード別:番手間の飛距離の目安

打つ人のヘッドスピードによって、番手間の飛距離のギャップは変わってきます。ヘッドスピードが速い人ほど、番手間の飛距離も開いていく傾向があります。

番手間の平均飛距離ピッチの目安は以下の通りです。

ヘッドスピードが速め(45〜48m/s):約15ヤード
平均的(40〜43m/s):約13ヤード
ヘッドスピード遅め(35〜39m/s):約10ヤード

番手間で飛距離がすべて揃っている必要はありませんが、ご自身の番手間のピッチを理解しておくことが、適切なロフト角選びのヒントになります。

ロフト選びのヒント:飛距離か、止める性能か

現在のロフト角は、7番で30°前後が平均です。

アイアンに飛距離よりも「グリーンで高い球でドロップさせてピンの側で止める」性能を求める方は、7番で32°以上のロフトがあるモデルがおすすめです。また、5番アイアンまで無理なく使いたいというなら、7番で32°くらいはほしいところです。

ヘッドスピードやスイングタイプによって球の高さは変わりますが、最終的には「自分がどの番手まで使いたいか」「どのくらい飛べば満足できるか」ということを自分自身と対話しながら、ロフト角とクラブ長のバランスを考えて選ぶようにしてください。

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※本記事はスポーツナビが独自で企画したものです。記事内の商品選定や評価はスポーツナビまたは出演者の方の判断にもとづいています。記事内で使用している商品画像はメーカーから画像・サンプルをお借りした上で使用、撮影しています。
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著者プロフィール

ゴルフメディアで活躍する識者たちが、人気のギアを徹底解説! ドライバーからアイアン、パターといったクラブ一式はもちろん、シューズやウェア、距離計など、ゴルファー必須のあらゆるギアをご紹介していきます。

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