MLBポストシーズンレポート2025

投手・大谷翔平が4シームでフィリーズ打線を圧倒! 「パワーピッチャー」としての自分を貫く

丹羽政善

パワーで押した気迫の投手・大谷

5回、シュワバーを空振り三振に仕留め雄叫びを上げる大谷翔平 【写真は共同】

 さて、二回に四球の後で連打を許すなどして3点を先行されたが、そのピッチングは気迫に満ちていた。

 復帰後、大谷が4シームをハードヒット(打球初速100マイル以上)されたのは、アウトになった打球も含めて8本だけ。しかしこの日は、最初の2イニングだけで3本も打たれ、3失点につながった。

 4シームに的を絞っているのでは? 

 最初に中前安打を放ったブランドン・マーシュ、2点三塁打を放ったJ.T.リアルミュートはともに、「必ずしもそうではない」と話したが、「Pitch Profiler」というデータサイトによると、大谷の4シームの平均stuff +(球速、変化量、回転数、回転効率などから球質を評価したもの)は、「102」(平均が100)と、主要3球種(4シーム、スライダー、スイーパー)の中では一番平凡。

 序盤は割合が50%を超えており、狙うのは必然だった。

 実際、三回までに大谷が投じた4シームは23球。ボールは6球。残り17球で14スイング。見逃しストライクは3球だけ。相手は積極的に振ってきた。

 もちろん、大谷も分かっていたが、4回以降も、極端に4シームの割合を減らすことはなかった。大谷は、パワーピッチャーとしてのスタイルを貫いたのだ。

 ただ、そこまで意地を張ることはなかったのかな、という気持ちも見え隠れ。特に無死一塁でマーシュに許した安打に関しては、「いらなかった」と振り返った。

「2ストライクと追い込んだ後、もう少し、工夫できたかな」

 1ボールから3球連続で4シームを投げ2-2と追い込んだ。しかし、さらに1球続けた4シームを捉えられた。

 また、「スプリットを2巡目以降にとっておきたいと思っていた」と大谷は明かしている。

 とはいえ、今日の真っ直ぐなら、そう簡単には打たれない、という自信もあったはず。

 今日の4シームの空振り率は38%(21/8)。これは2018年以降の全登板の中でもっとも高い。これまでのベストは、2023年4月17日のレッドソックス戦の28.57%。

 また、今日のstuff+は「Thomas Nestico」によると113。これはスライダーと同じだった(ちなみにスイーパーは124)。

 それだけの4シームを投げていてもヒットは打たれ、それがたまたまハードヒットだったわけだが、その後、やや変化球を増やしてスコアボードに0を並べたのは、やはり4シームの質の高さがあってこそ。2巡目以降、4シームを意識しつつ、他の球種に対応するというのは、フィリーズ打線といえども、容易ではなかった。

 シュワバーの五回の三振が、何よりもそれを物語る。

「フルカントになる前にコンタクトしなければいけなかったけど、それができなかった」

 さて、これでドジャースがシリーズを先勝。昨年も紹介したが、地区シリーズで(5試合、3戦先勝)の第1戦を制したチームがそのままシリーズを制したのは、54回中40回。つまり、シリーズ突破の確率は74.1%である。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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