阪神・矢野元監督が明かす"2020年神ドラフト" 佐藤輝は「だいぶ大人になってきた」【矢野燿大×下柳剛の阪神対談】

スポーツナビ

【スポーツナビ】

 史上最速の独走Vを果たした阪神は何が凄かったのか? どんな部分が強かったのか?

 阪神OBで元監督の矢野燿大さんと、2005年に最多勝を獲得した下柳剛さんの「同級生バッテリー」にその秘密を紐解いてもらいました。第2回は野手陣のMVPと2020年の「神ドラフト」について、対談形式でお届けします。

サトテルの成長を促した森下

下柳:中野(拓夢)は守備での貢献がでかいんよ。中野か佐藤(輝明)か……二冠取ったら佐藤かな。

矢野:多くの人は佐藤輝だと思ってるだろうけどね。

下柳:日本人離れした飛距離があるけども。

矢野:センターから逆方向にも打てる。バッテリーからすると攻めにくい。ストライクゾーンで打てる範囲が広がっている。

下柳:フォークの落ち切らんやつも上手に拾うよね。

矢野:まずは40本が目標やろうね(※シーズン最終戦で40本塁打到達)。あとは守備やね。守備やバッティングがいい状態で外野に回した。あの時どうなるのかなと心配はしたけど、調子悪くて外野に行くなら本人が納得してやれる。テルもさすがにだいぶ大人になってきた。それは森下(翔太)という下の世代が入ってきたのが大きいよね。良いところで打つよね?

下柳:ムラが大きいけど、どのカウントでも全部振るやん。あれはピッチャー的にはものすごく嫌やから。歩かせたら佐藤がおるし、佐藤を歩かせたら大山(悠輔)もおる。3、4、5番がうまく回っていると思う。

矢野:開幕前は『3番・佐藤、4番・森下』って藤川監督が言っていた。1番から左が3人並ぶと、相手は左ピッチャーを注ぎ込みやすいよね。かといって佐藤に代打は出せない。そうなると、やっぱり3番・森下の方がハマるなと。途中で藤川(球児)監督も並びを変えて。今の時代は右投げ左打ちの人が多い中で、ある程度ホームランが打てて中軸を任せられる打者が3番にいるのは、これから先の楽しみが増えていきますよね。

下柳:大事な試合で張り切って打つもんな、本当に。

矢野:シモが言うように、振れるのはバッテリーとして嫌やもんね。

大山の存在感

【スポーツナビ】

下柳:大山も夏場からガンガン打率を上げてきとるもんね。

矢野:打線の中での大山の存在感が大きい。足は速くないんだけど、全力疾走を貫くのが大山のすごさかなと。(監督時代は)4番の姿勢を絶対に貫いてくれと言ってきた。結果で勝たせるのはもちろん4番の仕事だけど、凡打した一塁まで諦めて走るとか、三振してうなだれてベンチに帰るとか、そういうのは4番の姿勢じゃないと思う。派手なことをやりたいタイプじゃないけど、全力疾走をコツコツ続けられるのがすごい。

下柳:糸原(健斗)が若手に言う時も『大山を見てみろ、そんな走塁するか?』って言うらしい。それぐらいチームのお手本になっているからね。

矢野:結局、打線は一人じゃないですよ。佐藤が4番で成長してるから5番の大山が効くわけで。近本・中野がいて、森下がいて、打線の中で大山が効いてくる。誰か一人では勝てない。

下柳:まず出られたら走られるし、中野が送ったとしてもこの3、4、5番は嫌よね。

矢野:その1イニングを抑えても、二回り目、三回り目にボディブローのように効いてくる打線として機能しているね。

下柳:この打線、三回り目はキツイな。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント