坂本花織、ラストシーズンの願いとは 高難度ジャンプ操るライバルには「覚悟を決めて、挑んでいきたい」

沢田聡子

「やり切った」と思える演技を

今季ショートでは、振付師ブノワ・リショー氏とのタッグが復活した 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 囲み取材では、9月19日~21日に北京で行われた五輪最終予選についての質問もあった。中立選手として出場したロシア出身のアデリア・ペトロシアンについての印象を問われると、「動きが機敏」「メリハリがある。若い動き」とコメントした。4回転やトリプルアクセルなどの高難度ジャンプを最終予選では組み込んでこなかったことについては「選考会はとりあえず通過できるだろうから、とりあえず今回はまとめて、ああいうふうになったんだと思う」と冷静に分析した。

「(五輪)本選になったら、もうガンガン(高難度ジャンプを)跳んでくるだろう、というのはもう丸見えなので(笑)。こちらとしても覚悟を決めて、挑んでいきたいなとは思っています」

 坂本は2022年北京五輪でも、高難度ジャンプを操るロシア勢と真っ向から向き合った。ロシア女子3人と同じリンクで滑る重圧に耐えて大きなミスなく終えたショートの演技後には、涙をみせた。またフリーでは、4回転4種5本を組み込む超高難度プログラムを滑ったアレクサンドラ・トゥルソワの直後という滑走順で滑っている。その中で自らのスケートを貫いて銅メダリストとなった坂本は、ミラノでも彼女にしかできないプログラムを滑り切ってくれるはずだ。

「団体も個人も銀以上」が、ミラノ五輪での坂本の最終目標だという。

「最後だからといって、特に何かプラスでするというわけでもなく。いつも通り追い込んでしっかり成績を残せば、自分の思い描いている結果に近づいていけるかなと思っています」

 そして坂本は、「もう、刻一刻と最後が近づいてきているので」と自身の選手生活を見据えた。

「『これでやり切った』と自分の中で思える演技を、どの試合でもやりたい」

 さらに坂本はその充実感を、自分だけではなく日本の選手たち全員が経験してほしいと願っている。五輪代表最終選考会となる全日本選手権(12月)については、「本当に泣いても笑っても、12月の末にオリンピック代表が決まる」と口にした。

「今ここにいる選手もそうだし、来られなかった選手ももちろんいるんですけど、誰にでもチャンスがあると思っている。最終選考の全日本まで気が抜けない状況ではあるので、本当に一人ひとりが今までの経験を生かして、今までやってきたことを信じて、思い切って全員でいい演技をして。本当に(代表が)誰になるか分からないぐらい混戦になって、最終的に(代表)3人が決まって、『いいシーズンだった』と全員が思えたら。強豪の日本であるからこそ、できる経験も多分たくさんあると思うので、それを今シーズンみんなで思う存分経験できたらいいなと思っています」

 出席していた選手たちから拍手が上がったこの言葉には、エースとして日本をけん引してきた坂本の思いがこもっていた。ミラノを目指す日本のスケーター全員とともに、力を出し尽くして戦うこと――。それが、ラストシーズンを迎える坂本の願いだ。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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