坂本花織、ラストシーズンの願いとは 高難度ジャンプ操るライバルには「覚悟を決めて、挑んでいきたい」

沢田聡子

今季見せたいのは“最終形態”

ラストシーズンも「いつも通り」追い込みたいという坂本花織 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

「今シーズンのテーマは、『総括』です」

 10月1日、日本代表候補選手が一堂に会して行われた2025/26シーズン・フィギュアスケート記者会見。坂本花織は、ミラノ・コルティナ五輪シーズンとなる今季のテーマを口にした。

「今シーズンでラストというのはもう決めているので、総括というのは“最終形態”という感じ。いつも通り追い込んで、しっかり練習を積んで、試合で結果を残せば、自分の思い描いている結果にいくんじゃないかなと思っている」

 4連覇をかけて臨んだ昨季の世界選手権では2位という結果になり涙を見せた坂本だったが、「そこで自分自身『このままじゃ駄目だ』ということにあらためて気づくことができた」と前向きにとらえている。

「オリンピックシーズンに入る前にそういう経験ができたのは、すごく大きな、大事な経験だった」

 坂本はもともと、昨季については今季との2シーズンでひとくくりととらえて臨んでいた。4連覇を果たせなかった悔しさはモチベーションにもなるはずで、勝ち続ける難しさから解放され挑戦者として今季に臨めることは、プラスの材料ともいえるかもしれない。

 今年6月に新たなホームリンクとなるシスメックス・神戸アイスキャンパスが完成したことで、坂本の練習環境は大きく改善された。去年までは夏場の練習量が足りていなかったが、今夏からは追い込む練習ができている。練習量は「必然的に増えた」といい、オフはしっかりとることでメリハリをつけていると語った。

「滑るって決めたらもうとことん滑って、休むときはもう思いっきり休むみたいな感じでやったら、いい練習が積めるようになったので。本当に、今の環境は素晴らしいなと思いました」

 ただ、今季初戦となったチャレンジャーシリーズ・木下グループ杯(9月)では、本来の演技ができなかった。ショート・フリーでジャンプのミスが相次ぎ、合計203.64で2位という結果に。練習への取り組み方がマイペースだったという反省を口にしていた坂本は、この記者会見で今季の試合での手応えを問われ、次のように語っている。

「今年の6月から練習環境が変わって、その中で9月のチャレンジャーシリーズで練習のペースや『みんながどういう感じか』ということが分からないまま、試合に出て。やっぱり試合の現地に行ってから不安になって、なかなか自分の思うような演技ができなかった。それが思いのほか自分に響いたのか、木下杯が終わってから、本当に腹がくくれて、大分調子が上がってはきている。このままというか、もう一段階ギアを上げてグランプリシリーズに挑めたらいいなと思っています」

 この記者会見後の囲み取材でも、坂本は「木下(グループ杯)が終わって次の日ぐらいから、なんかショートがノーミスできるようになった」と笑っている。

「本当に、気持ち入ってなかったんだな」というのが丸わかりで。でも、ちゃんと『やる気スイッチが入ったな』というのが明確に分かったので、ちょっと安心しました」

 スイッチは入っているのか、と記者に確認されると「はい。今はバリバリ入って、だいぶショートもフリーもまとめてできるぐらいにはなってきています」と明るい表情をみせた。

「『今までの調整だったら、きっと間に合ってなかったんだろうな』と思うんですけど、環境が整ったおかげで、今こうやって調子も上げることができているので、今までより不安なく、グランプリ初戦(第1戦フランス杯、日本時間10月18〜19日)を迎えられるかなという感じはします」

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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