MLBポストシーズンレポート2025

山本由伸の快投でドジャースは地区シリーズへ進出! 課題の「魔の八回」は佐々木朗希で克服できるか?

丹羽政善

6回、満塁のピンチでデラクルスを空振り三振に仕留め、雄叫びを上げる山本由伸 【Photo by Katelyn Mulcahy/MLB Photos via Getty Images】

「1点も与えたくない」吠えた山本由伸

 室内練習場を使って行われたシャンパンファイト。しかし、まだワイルドカードシリーズということで、シャンパン、ビールの本数は控えめ。大谷翔平、佐々木朗希らも全身にシャンパンを浴びていたが、早々に会場を後にし、そのまま戻ってくることはなかった。

 8対4とスコアだけをみれば快勝。ところが3対2と1点リードの六回表、ドジャースは先発の山本由伸が、不運もあって無死満塁のピンチを迎えた。

 あのとき、同点は仕方がない――誰もがそう覚悟したが、山本本人は違った。

「ヒットも許したくなかった」

 絶対に得点を与えない。ギアを上げた。
 まずはオースティン・ヘイズをショートゴロに仕留めた。ハーフライナー気味になって、三塁走者がスタートを躊躇。捕ったベッツは冷静にホームへ送球した。

「レギュラーシーズンなら、併殺を狙ったかもしれない」とベッツ。「でも、咄嗟の反応でホームに投げていた」。

 結果的にそれが好判断。併殺を狙っていたら同点だったが、1点も与えたくない山本は、「あそこでまず一つ取れたのが、大きかった」と振り返っている。

 続く打者は、1カ月前にデビューしたばかりのスーパールーキー、サル・スチュワート。初回はタイムリーを許したが、低めの球で追い込むと、最後はボールになるカーブを振らせて、三振に仕留めた。

 このとき、山本の背中を見ていたベッツは、「もう、大丈夫」と思ったそう。

「みんなもそう思ったと思う。これで、このピンチを切り抜けられると」

 続く打席に入ったのは、2年連続でオールスターに選ばれたエリー・デラクルス。後半は不振に陥り、打順も7番まで下がった。むしろ、だからこそあそこで彼にヒットが出ればレッズ打線が活気づき、流れが変わるかもしれなかった。山本の降板に繋がったかもしれない。

 ただ、山本は冷静だった。

 1打席目もカーブで三振に仕留めたが、この打席でもカーブはファールにするのが精一杯。「その反応から(カーブが)有効」と判断。

 1-2と追い込み、最後もカーブを投げ込むと、それは内角のボール球だったものの、デラクルスの止めたバットのヘッドが返った。

 山本はその瞬間、マウンド上で大きく吠えている。

 これで逆に流れを引き戻したドジャースはその裏、大谷、ベッツの連続タイムリーなどで4点を追加し、その時点でほぼ試合を決めた。打つべく人が打てば、こういう展開となる――レッズとは対照的だった。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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