「60分間の選手」とレッテルを貼られた浅野拓磨 万全ではない久保建英にはアーセナル移籍話が再燃
2人の同期の復活劇も示唆に富んでいる
興味深いのは、獲得に本腰と伝えられるアーセナルのミケル・アルテタ監督の経歴が、久保のそれとよく似ている点だ。
15歳でバルセロナB(現バルセロナ・アスレティック)に加入したアルテタだったが、トップチーム昇格は叶わず、20歳でパリ・サンジェルマンにレンタル移籍。その後、レンジャーズ、そしてレアル・ソシエダと渡り歩いたが、なかなか芽が出なかった。それでも2005年1月にエバートンに移籍すると、クラブの年間最優秀選手に選ばれるなど才能が開花。11年夏に加入したアーセナルでもキャプテンに就任し、存在感を示した。
また、久保のラ・マシア(バルサの下部組織)時代の同期、アンス・ファティとエリク・ガルシアのケースもどこか示唆に富んでいる。
ここ2年は怪我に苦しんでいたA・ファティだが、今季レンタル加入のASモナコで出番を得ると、直近の公式戦3試合で4ゴールの大活躍。かつての神童がフェニックスのごとく蘇ったとスペイン国内で話題になっている。
一方、昨年末までバルサの放出リストに名前があったE・ガルシアは、今年に入ってハンジ・フリック監督に重用され、今ではなくてはならない存在となっている。
なぜここで、アルテタ、A・ファティ、E・ガルシアの例を挙げたのか。それは、どんな形であれ、もともと力量のある選手には必ず、巻き返しのチャンスがやって来ると信じているからだ。持てる才能を存分に発揮できる場所が、きっとあると――。
久保の場合、それはもしかすると、サン・セバスティアンではないのかもしれない。
久保とアグメをセットにして130億円で
アーセナルは、久保、そして現在セビージャに所属するフランス人MFリュシアン・アグメ(23歳)の2人をセットにして、総額7500万ユーロ(約130億円)で獲得したいと望んでいるという。
久保の契約破棄金は6000万ユーロ(約104億円)に設定されているが、アーセナルはこれを4500万ユーロ(約78億円)で済ませる方向で交渉中だと言われている。実際はその半額しか受け取れないソシエダ(残り半分はR・マドリーの懐に入る)がとうてい納得するとは思えない金額だが、アーセナル側はここが落としどころと踏んでいるようだ。
22年ぶりのプレミアリーグ制覇はもちろん、悲願のチャンピオンズリーグ初制覇も狙い、大型補強を進めるアーセナルのビッグプロジェクトは、久保にとっても魅力的に映るに違いない。
夏のマーケットが閉まってまだ1カ月だが、すでに冬の移籍市場に向けて、水面下では激しい駆け引きが行われている。
(企画・編集/YOJI-GEN)