MLBポストシーズンレポート2025

ドジャースのワイルドカードシリーズの戦いを展望 「失うものがない」レッズの強力先発3本柱が立ちはだかる

丹羽政善

点差をつけて逃げ切りたいドジャース

第1戦で先発するスネル。ドジャースにとっては試合序盤で点差を広げたい 【Photo by Katelyn Mulcahy/Getty Images】

 もちろん、相手よりも1点でも多く点を取らなければ勝てないゲームなので、その点ではドジャース有利。

 レッズの得点は716点でリーグ14位(ドジャースは2位。以下、カッコ内はドジャースの順位)。OPSは.706でリーグ19位(2)。167本塁打はリーグ21位(2)。チーム打率.245はリーグ17位タイ(5T)。エリー・デラクルスを警戒しておけば、という感じだが、そのデラクルスも今季は軒並み数字を落とし、ハードヒット%(打球初速95マイル以上)は44.2%で、ほぼリーグ平均に下がった。三振の数はやや減ったが、バレルの打球の比率も昨年の12.7%から10.2%に落ちた。

ドジャースは俊足・巧打のエリー・デラクルスをいかに抑えるかがカギ 【Photo by John Fisher/Getty Images】

 特に後半に入ってから不振に陥ると、9月15日には打順が7番に。その後の8試合は、打率.364、2本塁打、出塁率.533、長打率.727、OPS1.261だったが、最後の5試合は打率.190、出塁率.227、長打率.333、OPS.561だった。

 もっとも、彼を出塁させると、四球でも連続盗塁で三塁まで行ってしまう可能性があるので厄介だが、とにかく彼を封じれば、それはレッズ打線を封じることにもなる。

 ドジャースにとって一番怖いシナリオは接戦で終盤を迎え、ブルペン勝負になったとき。

 レッズには、32セーブを挙げたエミリオ・パガンという信頼できるクローザーがいて、トニー・サンティランという今季80試合に登板し、防御率2.44だったセットアッパーがいる。マルチネスとチェイス・バーンズがリリーフに回ることで、さらにリリーフの厚みが増した。また、マイナーでメカニックの調整を行なったコナー・フィリップスが、9月に復帰して11試合に登板すると、13回1/3を投げ、19三振、防御率1.35と安定している。

 一方のドジャースは、何度も指摘している通り、不安を抱えたまま、ポストシーズンに突入する。例えば、3対2と1点リードの九回表、安心して送り出せる投手がいない。

 ある程度試合に決着をつけて、9回を迎えたいところ。

 ちなみにワイルドカードシリーズが今の形になったのは2022年から。サンプルは少ないが、12シリーズのうち、ビジターチームが8回も勝ち抜いた。また、すべて初戦を制したチームがシリーズを制しており、3戦目までもつれたケースは2回しかない。

 過去の例に倣うなら、初戦が大きな意味を持つ。

 その初戦。ドジャースはブレイク・スネル。レッズはグリーンが先発する。

(企画構成:スリーライト)

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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