アメリカ選抜とヨーロッパ選抜が激突 ライダーカップの魅力を徹底解説

北村収

国、地域の誇りをかけた戦いに観客も熱狂!

 ライダーカップでは選手たちは賞金ではなく国家とチームの誇りのために戦う。自国の名誉を懸けた団体戦という特殊な舞台は選手の闘志と感情を極限まで高ぶらせる。

バーディパットを決めた直後のローリー・マキロイ。選手は感情を全面に出す 【Photo by Darren Carroll/PGA of America via Getty Images】

 欧州チームのキャプテンであるルーク・ドナルドは、「大切なのはプライドです。国旗、ユニフォーム、そして後世に残すレガシーを表現することなのです。私たちは家族のため、チームメイトのため、国のため、大陸のため、そしてこのイベントを今日の姿にしてくれた私たちの前の世代のためにプレーします」とオープニングセレモニーで語った。

 また、米国チームのキャプテンであるキーガン・ブラッドリーは「ライダーカップは単なるゴルフの祭典ではありません。誇りと伝統が重んじられる大会です。互いを信じ、互いのために戦い、そしてこの大会が誰よりも大きな意味を持つことを理解しているチームメイトと肩を並べて戦う大会です」と語っている。

 なお、通常のトーナメントではプレーに同行するのはキャディだけだが、ライダーカップではチームのキャプテンや副キャプテンも同行。さらには選手の妻やパートナーもロープ内の選手の近くで応援。まさに選手の家族や仲間も含めた総力戦なのだ。さらにファンも、国や地域を象徴する衣装を着ている方が少なくないのがライダーカップの特徴だ。

入場チケットが21万円まで高騰したという報道も

米国チームの選手の妻およびパートナー。後方には、米国チーム、欧州チームの衣装をきたギャラリーが応援中 【Photo by Darren Carroll/PGA of America via Getty Images】

 今大会ではチケットが高騰。1日当たりのチケットが1,400ドル(約21万円)を超えたという報道も流れた。

 開催地元の地域にとってもライダーカップ開催はビッグニュースだ。ニューヨークでは毎日ライダーカップの様子を報道していた。また、ゴルフ場から離れたマンハッタンの中心地であるロックフェラーセンターではライブビューイングを実施。ゴルフ場だけでなくニューヨークの街をあげてライダーカップを盛り上げている。

 さらに今回のライダーカップでは、ニューヨークのマンハッタンで最も予約が取れないと言われる高級レストランであるラオズ(Rao's)が出店。毎晩の試合終了後、限られた人数のゲストが、象徴的な装飾から特別料理までラオズ(Rao's)イーストハーレム店のあらゆる細部を再現した招待客限定のディナーを楽しめる。筆者も食べてみたいと思ったが、なんと「1人2,700ドル(約40万5千円)ほどの料金を前払いする必要がある」と言われ、もちろん諦めた。

 ライダーカップは全てが普通のゴルフトーナメントとは違う“特別”である。しかし、選手が無報酬で誇りのために戦う一方で、VIPの観客向けには超高額のグルメ体験が用意されているという、このギャップもまた“特別”と言えるのかもしれない。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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