教え子たちとのドラフト秘話

決勝でまさかのサイン無視…辰己涼介が監督に伝えたことは? 大学日本代表・善波元監督が明かす秘蔵エピソード

瀬川ふみ子
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2011年、日米大学野球選手権大会の日本代表に選ばれた当時大学4年生の菅野智之(中央左)と野村祐輔(中央右)ら 【写真は共同】

 明治大の監督在任中、大学日本代表監督も歴任した善波達也氏。代表コーチ時代も含めると、のちに日本球界を背負って立つような、多くの逸材たちの指導にあたった。将来のスター選手たちが大学日本代表で見せた大器の片りんとは? そして、教え子たちが学生時代に見せた知られざる横顔について、善波氏が振り返ってくれた。

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“浪人”を選ぶも信念を貫く智之がすごい

 私が大学日本代表のコーチになった年、代表のエースだったのが東海大の菅野智之(オリオールズ)でした。智之のことは、実は小さい頃から知っていまして……というのは、智之の父・隆志さんと私は同い年で、同じ神奈川にいて、中学時代に軟式野球の大会で対戦したこともある仲です。高校も東海大相模と桐蔭学園、大学も法政大と明治大と、ずっとライバル校にいた相手であり友人でもあります。そんな菅野のお子さんの智之が中学生のとき、軟式野球の県大会で優勝投手になったと聞いて、「さすがだな」と思ったことがあります。

 大学日本代表という舞台で智之と一緒に野球をしたのですが、投手としてのすべてを持っている選手だなと感じました。体もそうですし、スピード、コントロール、マウンドさばき、フィールディング、すべてそろっていました。それだけではなく、あの名将である原貢さんの孫であり、巨人の原辰徳前監督の甥っ子でもあり、周りからどうしても注目される中、そういうことは影も形も見せないですし、自分を見失うようなこともない。いつもきちんと行動し、仲間や後輩ともいい感じで関わり合える、素晴らしい好青年だなと思いましたね。明治大からは野村祐輔(元広島)が代表にいましたが、ノムも同級生の智之からいろんな刺激を受けたのではないかなと思います。

 ドラフトでは巨人入りを希望する中、日本ハムが交渉権を獲得したことで“浪人”の道を選びましたが、信念を貫いた智之がすごいなと。一年間実戦を離れるというリスクもあるし、風当たりも強くなって、マイナス要因の方が多いはずなのですが、その一年間、東海大でしっかり練習し、後輩たちにいろんなことを伝えたり。大学日本代表の平塚合宿にも来てくれて、アドバイスもくれたり、本当によくやっていました。1年後に巨人入りしていきなり13勝をあげたのも、あの1年をしっかり過ごしてきたからこそ。その後の巨人での活躍もあまりあるものだと思います。

「メジャーで投げたい」という目標もしっかり叶えているところも本当にすごいなと。コロナ禍の2020年末にメジャーにチャレンジしたときは交渉がうまくいかず、本当に苦しかったと思います。でも、昨年、巨人で15勝してメジャーに再チャレンジ。36歳になる今年、メジャーで10勝するって、どれだけすごいことか。父の隆志さんも、学生時代から努力を怠らず、信念を曲げず貫いていた人。きっと両親からそういう育てられ方をしてきたんだろうなとも思います。来年は37歳になる年ですが、「もっともっと頑張れー!」って応援しています。

2013年日米大学野球選手権の第1戦、当時4年生の大瀬良が先発し6回途中、6奪三振、1自責点と好投し日米スカウト陣をうならせた 【写真は共同】

 智之やノムが4年のとき、2年生で代表入りしたのが九州共立大の大瀬良大地(広島)、福岡大の梅野隆太郎(阪神)、横浜商科大の岩貞祐太(阪神)、富士大の山川穂高(ソフトバンク)らです。練習後の宿舎で、私たちスタッフの部屋を回ってユニホームを受け取ってクリーニングに出す係をしていたのが大瀬良と岩貞だったのですが、その二人がすごく感じがよくてね。ドアを「コンコン!」ってして、「お疲れさまです! 受け取りに来ました!」「ちょっと早かったですか~?」という感じで、笑顔で本当に気持ちよく取りに来てくれるんです。なんていい子たちなんだろうと思っていましたね。

 大瀬良は4年時には代表チームのエース格になったのですが、選考合宿のとき、大瀬良に一つお願いごとをしたんです。日米野球でアメリカの選手と対戦するにあたり、「アメリカの選手は伝統的に縦のカーブが苦手だから、それにチャレンジしてみてくれない?」と。それまで大瀬良は縦に曲がるカーブは投げていなくて、明治大から代表入りしていた関谷亮太(元ロッテ)がいい縦のカーブを放っていたので「あんな感じの球が放れると幅が広がって有効だと思うんだ」と。大瀬良はそれにトライしてくれて、満を持して愛媛・坊っちゃんスタジアムでの第一戦で先発させました。
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