週刊MLBレポート2025(毎週木曜日更新)

「ポストシーズンでは大谷をリリーフとして起用しない」 ドジャース世界一連覇の命運を握るクローザーは誰が適任か?

丹羽政善

23日のダイヤモンドバックス戦で今季最長6回を無失点で投げ終えロバーツ監督(手前)に迎えられる大谷 【写真は共同】

安定感を欠くドジャースブルペン陣

 先週土曜日の試合を終えて、地区優勝のマジックは3。本当なら23日・24日辺り(※日時はすべて現地時間)でシャンパンファイトが行われていてもおかしくなかったが、ダイヤモンドバックスにサヨナラ負けを喫した23日の試合後、ドジャースのクラブハウスは静まり返っていた。クラブハウス前の廊下で誰かが発した奇声が響き渡り、それを聞いたセキュリティが飛び出していった。

 試合は、大谷翔平(ドジャース)が、復帰後初めて6回まで投げ、5安打、無失点、無四球、8奪三振の好投。打線も援護し、7回表を終えて4対0とリード。パドレスが大量リードしていたため、マジックは減っても1つ――という状況だったが、24日の試合に勝って、パドレスが負ければ優勝というシナリオが、誰の頭にもチラついた。
 ところが――。

 7回からマウンドに上がったジャック・ドレーヤーは、2死一塁の場面でジェームズ・マッキャンに二塁打を打たれ、1点を返された。ここでドジャースはエドガルド・エンリケスにスイッチ。しかし、そのエンリケスが代わり端、エイドリアン・デルカスティーヨに2ランを許し1点差。ドジャースのブルペンの状態を考えれば、その差はないも等しかった。

 それが現実となる。8回のピンチはなんとかアレックス・ベシアがしのいだが、9回、タナー・スコットがマウンドに上がり、最初のバッターを死球、次の打者を四球で歩かせると、半ば勝負あった。

「最初の2人を出してしまって、自分を追い込むことになってしまった」とスコット。普段から声量が大きい方ではないが、その蚊の鳴くような声が、記者らの輪の一番外まで聞こえたこともクラブハウスの静寂を物語った。

 その後、取材に応じたデイブ・ロバーツ監督。いつもは選手を庇うが、トーンが少し異なった。

「ボールが先行して、歩かせて、打者に当てて……これらは、慎重に行きすぎているか、怖がっているか、どちらかだ。打たれることを恐れていたら、思い切って腕を振れない。もし失敗を恐れたら、ボールが浮いたり、必ず悪いことが起こる。バッターはそれを感じ取るものだ」

 ロバーツ監督は、「特定の選手について言っているのではない」と断定は避けたが、それが、21日のジャイアンツ戦で試合を壊したブレーク・トライネンであり、スコットであることは明白だった。

 ただ、これで踏ん切りがつくのかもしれない。スコットをクローザーから外す。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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