男子バレー日本代表、セッターの「後悔」と「覚悟」 予選敗退に終わった世界選手権からどう立ち上がるか
世界選手権での糧と男子代表の未来
ならば最後の試合で何を見せられるか。何が残せるか。ティリ監督が「試合前の練習で最もコンディションがいいと判断した選手を選んだ」というリビア戦、スタメン出場したのは永露だった。
192センチの高さを活かし、ネットを超えそうな高いボールもワンハンドで処理し、トスを呼ぶミドルブロッカーのエバデダン・ラリーや佐藤駿一郎に上げる。これまで課題としてきたミドルの攻撃回数も増え、決定率も上がっただけでなく、髙橋、石川のパイプも積極的に使う。第1セットの終盤に宮浦が後衛でレシーブした後、レフト側からファーサイドへバックトスを上げ、そのまま宮浦がバックアタックで叩き込む。
世界選手権だけでなく、壮行試合やネーションズリーグではなかなか見られなかったチャレンジの成果が、最後の一戦でようやく発揮された。
試合後「勝てて本当にホッとした」と安堵しながら、宮浦に上げた1本を永露が語った。
「アタッカー陣もですけど、(リベロの)小川(智大)がずっと声をかけ続けてくれて、『ライト、ライト!』という小川の声が聞こえた。宮浦もトスを呼ぶ声が聞こえたので、託すしかないと思って迷わず上げました」
フィリピンの声援や、日本からの応援に「心強かった」と述べながら、永露が最も感謝を示したのが、共に切磋琢磨してきた大宅の存在だ。
「全然タイプの違うセッターで、スパイカーと合わせる時間も短い中、2人で切磋琢磨してきました。自分自身としても難しいことにチャレンジしながら、できたこともあればまだまだできないこともたくさんあって、それがいい経験になりました。そういう日々を、大宅さんとは練習ではライバルとして、でも試合のときは助け合いながらシーズンを終えることができた。大宅さんには本当に感謝しているし、来年同じ悔しさを味わわないために、またここから頑張りたいです」
昨季まで日本代表のセッターとして不動の地位を築いた関田誠大が、今季は足首の手術もあり、日本代表として出場することはなかった。世界選手権の最中も「関田がいれば」や「来年は関田が戻ってくる」という意見も飛び交ったが、日本代表がそれほど簡単な場ではないことを誰より知るのが関田だ。何より、関田自身がこの先どんなキャリアを歩み、選択するかも本人しかわからない以上、タラレバを論じたところで何の解決策にもならない。
残るのは、厳しく、苦しい一年を大宅と永露がセッターとして戦いきったこと。
そして次のシーズンへ向けた新たな戦いがまた始まるということ。
世界選手権が終わり、今季の日本代表シーズンが終わった。負けからどう立ち上がっていくのか。これからどんな姿を見せるのか。2人だけでなくまたさらに多くの選手が加わる中での新たな競争も、変わらず楽しみに見続けていきたい。