カーリング日本代表決定戦 年齢も世代も越えて、“再出発”のSC軽井沢クラブが見た景色
コンサドーレ粘るもSC軽井沢クラブに軍配
続く第4戦は、勢いと自信を取り戻したコンサドーレと拮抗した試合展開となる。勝負を分けたのは3-3とロースコアで迎えた終盤の第9エンド。後攻のSC軽井沢クラブは複数点を狙えない少し苦しい展開になった。そこである選択をした。フォース・栁澤李空が投げる前にチーム4人で話し合い、最終エンド第10エンドを後攻で迎えるべく、第9エンドはあえてコンサドーレに1点スチールさせた。栁澤は振り返る。
「コンサドーレは一個前の(大逆転で勝った)試合のように、最終エンドを後攻で迎えることに良いイメージを持っていたと思う。だから後攻を渡したくなかった」
狙い通りの後攻で迎えた最終第10エンド、SC軽井沢クラブが主導権を握る形で試合は進む。先攻のコンサドーレのラストロックは、フォース・清水がドローショットを決めきれず、試合は終了。SC軽井沢クラブは最後まで投げずに2点獲得し、逆転勝利となった。通算3勝1敗、12月のミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選の出場切符を勝ち取った。
“新”SC軽井沢クラブの成長と勝因
現在の山口、栁澤、山本遵、小泉聡での“新”SC軽井沢クラブとしての活動は2021年からだ。唯一五輪を経験している山口はもちろんのこと、他3人もそれぞれカーリングへの思いや「オリンピックに出たい」という気持ちは強いが、40歳の山口と37歳の小泉、23歳の栁澤、19歳の山本と年齢差があるがゆえのぶつかりも多く、過去の大会ではコミュニケーションや気持ちのコントロールがうまくいっていない試合も少なくはなかった。
そこを踏まえて、代表決定戦に向けては話し合うためのミーティングを増やしたり、遠征や合宿などで生活を共にする際は、お互い思ったことをその場できちんと伝えるようにするなど、会話することを習慣化していたという。それが試合にも結びついたのか、スキップ・山口は戦略で迷ったらすぐにヴァイス・栁澤やフロントの2人を呼んで相談し、試合進行のタイマーが動いている中ではフロントに「1分経ったら知らせてほしい」と時間のコントロールも意識するやりとりが見られた。日頃の練習の成果はもちろんのこと、このチーム間でのやりとりを絶やさなかったのが勝因の一つとも言える。
平昌五輪に出場した、“前”SC軽井沢クラブのスキップであり、本大会の中継解説を務めた両角友は、勝因をこう語る。
「年齢差のある4人のメンバーで活動し始めて、コミュニケーションの仕方などいろいろ積み重ねて、話し合うことをやめなかったことが、本大会の結果に繋がったと思います。第4戦の第9エンドに相手に1点あげる選択は王道な戦略ではありますが、代表決定戦という舞台で、かつ接戦で緊張している中、冷静に選択できたことも強さの一つです。プレー面の勝因は、全試合通してフロントの2人のプレーが崩れなかった、この一言。フロントがどのエンドもセットアップをしっかり作っていたことで、SC軽井沢クラブのバックは難しいショットや苦しいショットを投げなければならない局面がほぼなかった。その分バックの2人の負担は少なかったと思います」
大会を終え、山口はチームの成長に手応えをつかんでいる。
「成長したいと思ってこの大会を迎えました。どの試合もとても緊張していたし、コンサドーレには最後までプレッシャーをかけられた。でも自分たちの今できるプレーを発揮でき、勝てて本当によかったです。年齢差のあるチームですが、戦略の相談もしやすい良いチームに育ったと思います」
栁澤は、スキップの山口への信頼を言葉にする。
「オリンピックに向けて最初の一歩になるこの大会で勝ててよかったです。スキップを山口さんに託し、大会を通してスイーパーとしてアイスの状況を見ながらフォースの投げに集中できるようになっています。僕の投げはずっと山口さんしか見てきていないし、山口さんに全幅の信頼を置いて投げていたので、過度に緊張したりプレッシャーを感じる場面はなかったです」
そして栁澤は、代表決定戦を共に戦ったコンサドーレにも思いを馳せる。
「コンサドーレとこの大会を通して良い試合ができて、経験として活かせるものとなりました。コンサドーレの思いも日本男子の思いも背負って五輪の出場権を狙っていきたいです」