泥にまみれてつかんだ代表権 フォルティウスが挑む「最後の関門」

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大きな力につながった日常の小さな積み重ね

日本代表決定戦で氷上を見つめる吉村(左)と小谷優奈(右) 【写真:築田 純/アフロスポーツ】

 勝利の背景には、精神面を整える工夫もあった。決定戦当日のミーティングで行ったのは、異例の「優勝セレモニーのリハーサル」だ。吉村は「全員で優勝のポーズを決めて、『自分たちは優勝するんだ』と意識を一致させた。それがプレッシャーの中でも力になった」と話す。

 また、吉村の生活そのものが競技を支えている。母として子育てと競技を両立しながら、仕事・練習・トレーニングをこなす毎日。「正直大変なことも多いけれど、育児とカーリングをきっぱり切り替えることで、どちらにも集中できている」と語る。

 大変さを力に変える姿は、チームの精神的な支柱となっている。小谷も「吉村選手が背中で示してくれるから、チーム全員が前を向ける」と言葉を添えた。

 氷上での一投と同じように、日常の小さな積み重ねが大きな力につながる。その姿は、勝負の世界に挑むアスリートの原点を映している。

世界最終予選、そして五輪へ

日本代表の座をつかんだフォルティウスには、世界最終予選が待っている 【写真:築田 純/アフロスポーツ】

 日本代表としての挑戦は、ここからが本当の正念場だ。待ち受けるのは世界最終予選。各国の代表が「最後の切符」をかけて死力を尽くす舞台である。吉村は「他の国も強い覚悟で来ると思う。でも今回プレッシャーの中で勝ち切れた経験は大きな自信になった」と力強く語る。小谷も「このチームにはまだ成長の余地がある。さらに積み上げて挑みたい」と続ける。

 彼女たちには、北京での悔しさを糧にしてきた歴史がある。そして、スポンサーやファンへの感謝を胸に刻み、なにより「諦めなかった自分」への誇りがある。吉村は「絶対に五輪の出場権を勝ち取りに行きたい」と誓う。

 泥にまみれ、崖っぷちから何度も這い上がってきたフォルティウス。最後の関門を突破し、五輪の舞台に立つ瞬間を、誰よりも強く望んでいるのは彼女たち自身だ。その挑戦は、日本カーリング界に新たな歴史を刻むに違いない。

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