意外なところにあった国際試合の難しさ 町田がACLE・ソウル戦で得た課題と手応え
反省と裏腹の手応え
望月は強力なブラジル人ドリブラーのルーカス・シウヴァを封じつつ、町田のACLE初ゴールを決めている。この試合のMVPに相当する「プレイヤー・オブ・ザ・マッチ」にも選出される活躍だった。
にもかかわらず試合後の彼は「自分個人としてもイージーなロストが前半は多かった」「もっと(前に)スライドしていけば良かったのに、その判断を思い切ってできなかった部分がある」と反省のコメントを続けていた。
彼自身がそもそも控えめで謙虚な性格という事情もあるが、日本代表を経験し「目指すレベル」が上がったからこその反省だろう。
まず国際試合との相性自体は悪くなさそうだ。
「Jリーグの選手の方がもっと細かくて、ついて行きにくい部分がある。ギャップ、やりにくさはあまり感じなかったです」
同点ゴールはファーに流れてきたクロスボールに、望月が詰めた流れだった。そこに詰めて、決めきったところはプラス材料だ。国士舘大から加入して2シーズン目の彼だが、成長曲線の角度は特筆に値する。
「この経験、戦いは次に間違いなく生かしていけると思う。(自分が)急激に良くなっているかは分からないですけど、より1個、2個レベルアップした試合を見せていけたらと思います」
ボランチで出場した中山は、ヨーロッパで6シーズンプレーした経験を持ち、彼にとっては7シーズンぶりのACLだった。試合後にこう語っている。
「手応えも多くありました。年代別(代表)で韓国とやったときは身体で負けそうなシーン、負けているシーンが多かった。でも海外に行って、そこで引けを取らない実感がありました。今日得たものは多いですし、Jリーグにつながっていくという部分、今後に向けても課題が色々と見えました」
課題を成長の糧にできるか?
2019年秋に藤田晋オーナー(現社長)が「2025年のACL制覇」をビジョンに掲げたとき、その大風呂敷を本気にする人はほとんどいなかった。しかしチームはそんな「夢」が実現可能なところまで来ている。
そして何か課題が浮上したときの手当の早さは、黒田監督の特徴だ。
FCソウル戦は辛うじて勝ち点1をつかんだ、不完全燃焼の試合だった。一方で「得たもの」のかなり多い90分でもある。個としてはそれぞれが手応えを得て、チームしては次につながる課題をつかんだからだ。