大谷翔平と本塁打王を争うカイル・シュワバーの素顔に迫る 「タイトルよりもチームのために戦う」2人の共通点とは?
2013年日米大学野球での珍エピソード
「多くの選手を担当してきたが、本当に律儀で、人間的にも素晴らしい選手」
いまは選手会を経て別の事務所に移籍し、小笠原慎之介(ナショナルズ)をクライアントの1人に持つ当該の代理人から数年前に聞いた。
実際、インタビューなどでも飾らない人柄が、取材するものを惹きつける。
2013年、彼は米国選抜の一員として来日し、日米大学野球でプレーしている。日本選抜には、吉田正尚、大瀬良大地、山﨑康晃、梅野隆太郎らがいて、米国代表にはカルロス・ロドン(ヤンキース)、トレー・ターナー(フィリーズ)、マット・チャップマン(ジャイアンツ)、アレックス・ブレグマン(レッドソックス)、マイケル・コンフォート(ドジャース)らがいた。
「実はお腹を壊していて、トイレにいたんだよ。スッキリしてダグアウトに戻ったら、誰もいなかった。『あれ、どうしたんだろう?』と思ったら、何やら、フィールドが騒然としていた。でも、その過程を知らないから、ベルトを閉めるのに戸惑っているふりをしながら、ただ、眺めていた」
そのエピソードを前出の代理人に伝えると、「彼らしい」と爆笑だった。
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「力が入った」新記録がかかった6打席目
16日の試合を終えて、大谷が50本。シュワバーが53本。
シュワバーは、8月28日のブレーブス戦で1試合4本塁打を放ってリードしたが、このときの裏話がまた面白い。先日、ABEMAでインタビューをしたが、こんな話をしてくれた。
「オールスターゲームでスイングオフ※に参加したときもナーバスになったけど、あの6打席目は、もっとナーバスだった」
※球宴のスイングオフとは、同点で九回を終了した場合、両チームから3人ずつが出場し、ホームランダービーの要領で1人3スイング。本塁打の多い方が勝ちというルール。今年、初めてそのルールが適用されたが、ナ・リーグ2番手のシュワバーが3スイングすべてスタンドに放り込み、それがナ・リーグ勝利の決め手になった。
七回裏、その日4本目のホームランを放ったあと、シュワバーの姿は室内ケージにあった。八回にもう一度打席が回ってくるかどうか分からなかったが、七回2死から、ブレーブスは野手がマウンドへ。これで可能性がでた。そのとき、シュワバーは、近くにいたコーチに聞いたという。
「これまで1試合、5本塁打を放った選手はいるのか?」
過去、1試合で4本塁打を打ったのは、彼が21人目。同じ試合で5本塁打を打つチャンスが巡ってきたのは、ボビー・ロウ(1894)、ルー・ゲーリック(1932)、マイク・キャメロン(2002)に次いで4人目だったが、1試合5本塁打を打った打者はいなかった。それを聞いて、「よし! 狙ってやる」と気合を入れ直したが、「聞くべきじゃなかった」とシュワバーは振り返る。
「あれで、力が入った」
果たしてその6打席目――彼が打った打球は高く上がり、ショート後方へ。インフィールドフライが宣告された。
マウンドにいたのが野手だったことも、災いしたよう。
「野手は苦手なんだ」
そういう選手は少なくない。