17歳・久保凛が切り拓く800m新時代 初の世界陸上で“97年ぶり”の決勝進出はなるか?
もう「話題性先行」ではない
しかし彼女自身はそんな“親戚関係”を騒ぎ立てる周囲と一線を画し、あくまでも自身の足で世界を目指す。「いとこからメッセージはないですね」と笑いながら語る彼女は気負いもなく、自然体だ。そもそも17歳にして日本を代表する中距離走者となった彼女をいつまでも「久保建英のいとこ」扱いするのは失礼だろう。
2025年5月のアジア選手権では、シニアの舞台で2分0秒42の好記録をマークして2位に入り、改めてその実力と成長を証明した。「優勝はできなかったけど、自分の中でいい試合だった」というコメントからは、結果だけでなく“走りそのもの”を自分で評価する感覚を持っていることが分かる。
自国開催の大舞台でも強気に
「東京で世界陸上があること。それだけで本当に嬉しい」と語る久保。そこには若くて素直な喜びがにじむ。同時に「国立で走る姿がまだ自分の中で想像できていない」という正直な言葉は、彼女の等身大を示している。
久保はこれまでにも国際大会を経験してはいるが、昨年のパリ五輪には出場しておらず、世界陸上は別格の舞台だ。自国開催となれば、背負うものは決して小さくない。しかし彼女は「プレッシャーよりも楽しみが強い」と言い切る。そのメンタリティこそが、10代にして世界の扉をこじ開けた理由の一つだろう。
「走れるならホジキンソン選手と走りたい」と名前を挙げたのは、東京五輪で銀、パリ五輪で金メダルを獲得した800mの世界女王ケリー・ホジキンソン。久保はその強さに憧れつつも、「食らいついて走りたい」と語る。
“追いかける”のでなく“並び立ちたい”という意志が、彼女の発する言葉の端々から感じられる。初出場ながらもファイナル進出を目標に掲げるその姿勢は、ただの経験で終わらせるのでなく、本気で世界と勝負しようとする意志の表れだ。