17歳・久保凛が切り拓く800m新時代 初の世界陸上で“97年ぶり”の決勝進出はなるか?

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久保凛が出場する800mは9月18日から競技が始まる 【Photo by Kenta Harada/Getty Images】

もう「話題性先行」ではない

 世界陸上2025は、34年ぶりに東京で開催されている。そんな大舞台に“未来の主役”が降り立とうとしている。女子800mで日本記録(1分59秒52)を更新し、高校3年生ながら代表入りを果たした久保凛――この17歳の若きランナーは、新時代の象徴だ。彼女は日本サッカー界を牽引する久保建英(レアル・ソシエダ)のいとこ(従妹)で「世界と戦うDNA」も受け継いでいる。

 しかし彼女自身はそんな“親戚関係”を騒ぎ立てる周囲と一線を画し、あくまでも自身の足で世界を目指す。「いとこからメッセージはないですね」と笑いながら語る彼女は気負いもなく、自然体だ。そもそも17歳にして日本を代表する中距離走者となった彼女をいつまでも「久保建英のいとこ」扱いするのは失礼だろう。

 2025年5月のアジア選手権では、シニアの舞台で2分0秒42の好記録をマークして2位に入り、改めてその実力と成長を証明した。「優勝はできなかったけど、自分の中でいい試合だった」というコメントからは、結果だけでなく“走りそのもの”を自分で評価する感覚を持っていることが分かる。

自国開催の大舞台でも強気に

 久保が出場する女子800mは18日(木)に予選、19日(金)に準決勝、21日(日)に決勝が予定されている。

「東京で世界陸上があること。それだけで本当に嬉しい」と語る久保。そこには若くて素直な喜びがにじむ。同時に「国立で走る姿がまだ自分の中で想像できていない」という正直な言葉は、彼女の等身大を示している。

 久保はこれまでにも国際大会を経験してはいるが、昨年のパリ五輪には出場しておらず、世界陸上は別格の舞台だ。自国開催となれば、背負うものは決して小さくない。しかし彼女は「プレッシャーよりも楽しみが強い」と言い切る。そのメンタリティこそが、10代にして世界の扉をこじ開けた理由の一つだろう。

「走れるならホジキンソン選手と走りたい」と名前を挙げたのは、東京五輪で銀、パリ五輪で金メダルを獲得した800mの世界女王ケリー・ホジキンソン。久保はその強さに憧れつつも、「食らいついて走りたい」と語る。

 “追いかける”のでなく“並び立ちたい”という意志が、彼女の発する言葉の端々から感じられる。初出場ながらもファイナル進出を目標に掲げるその姿勢は、ただの経験で終わらせるのでなく、本気で世界と勝負しようとする意志の表れだ。

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