カーリング男子代表争い、勝者と敗者のこれから 敗れたコンサドーレの狙いは世界選手権
先に3勝したチームが日本代表となるベスト・オブ・ファイブ方式で行われたこの大会、初戦、2戦目とSC軽井沢クラブが連勝したが、スキップの山口剛史は連勝に安心していなかった。
「バックエンドがチャンスを作っても壊してくるし、フロントエンドもミスが少ない。僕らももっと精度が必要になってくる」
「バックエンド」とはコンサドーレのサード阿部晋也とフォース清水徹郎だ。その山口の警戒が的中する形で3戦目、清水は2点ビハインドのラストロックで自軍のコーナーガードを飛ばして3点を奪うスーパーショットを決め、逆転勝利。一矢報いたが、4戦目を4-5で落として決着がついた。
「午前中(の試合で)清水さんがとんでもないショット決めてつないでくれたんですけれど……」とコンサドーレのセカンド、佐藤剣仁は言葉を失った。
「相手はちゃんとうまかったです」
涙をこらえて佐藤が勝者を称えたように、SC軽井沢はショットのクオリティのみならず、スイープの強さとコールとの適合性といった部分でも上回っていた。
例えば、フォースの栁澤李空は自身の仕事を「ブラシ向かって要求されたウエイトで投げることなので、今大会はそれを徹底してやりましたし、特別プレッシャーに感じた場面もなかった」と振り返る。リードの小泉聡も「セットアップは絶対に相手に負けないという気持ちでやってきました」と胸を張った。4月の世界選手権ではアイスに立てずにフィフスに甘んじた山本遵だったが、今大会はセカンドで出場。「世界選手権から約半年、ずっと辛くて苦しい日々でした」と心中を明かし「すごい緊張した」と苦笑いしながらも、ショットとスイープの両面でチームの推進力となった。
「明日から12月に向けて、また同じように努力を続ける日々になりますが、今日だけは自分を褒めてあげたいと思います」
山本が口にした「12月」とは五輪の最終予選のことだ。カナダのケロウナで行われ、アメリカや中国、韓国ら8カ国が出場。最後の2枠を争う。山口は12年前、ソチ五輪へ向かう最終予選を戦っているが「1勝や一敗の重みがまったく違う場所」と振り返る。
「だからこそ日々の練習で自分たちにレッシャーをかけるというか、厳しい場面でしっかり決めていくとか、コミュニケーションしっかり取っていくとか、そういうところをやっていけばいい。今回やっぱコンサドーレとこうやって厳しい試合を4回できたっていうのも、大きかったかなと思います」
大会後、阿部は今後について、2030年フランスアルプス五輪まで含んだ自身とチームの去就について質問を受けた。
「何とも言えない」と明言を避けた。それでも「簡単に『このままやります』とは言えないですけれど、『まだ戦える』とは思っています」と最後に言い残した。
今大会でSC軽井沢クラブを苦しめたコンサドーレをはじめ、山口と共に2018年平昌五輪を戦った後に結成され難敵であり続けたTM軽井沢、日本選手権の決勝だけでなく直前の北海道ツアーで強度の高い実戦機会を与えてくれたロコ・ドラーゴ、フィフスの臼井槙吾を快く送り出したKiTCURLINGCLUBなど、日本には世界を狙える好チームが増えてきた。
かつてから山口は「男子カーリングもメジャーに」を標語としてプレーしてきた。その気持ちは今も変わっていない。日本代表という肩書きと、五輪出場という実績の重さを彼がもっとも理解してるだろう。勝ってなお、自覚と責任が求められる。12月の世界最終予選には男子カーリングの未来がかかっている。
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