佐々木麟太郎が語る想像以上にハードな学校生活 あえて選択した苦難の道を「誇りに思う」

丹羽政善

覚悟を決めて新学期へ

スタンフォード大で共にプレーするチャーリー・ベイツ選手宅で犬と戯れる佐々木麟太郎〈本人のインスタグラムより(https://www.instagram.com/rintarosasaki/)〉 【提供:ナイスガイ・パートナーズ】

 同様に多くの視線が注がれる佐々木にも逃げ場がない。本人も自覚する。

「自分が最終的にどうなっていくかで、今後、アメリカの大学へ進む道も増えたりもするかもしれないし、もしかしたら減ったりもするかもしれない。そういうところも見られているんじゃないかと思う」

 覚悟して野球と勉強に集中し、後輩に背中も見せたい。

「なので、使命というか、『やらなきゃ』というプライドはあります」

 日本の高校からアメリカの大学に留学して野球をしているケースは、彼が初めてというわけではないが、これまでとはまるで注目度が異なる。自分が発信し、その道を示すことで、それが選択肢――ひいては、他のスポーツ選手の道標にもなりうる。

 もちろん、自分の将来も見据えての決断。

「自分としても、大変な選択をしたなっていうのは思いますけれど、この苦難の道を誇りに思っています。一瞬の喜びより、一生の喜びを求めたい。今後の人生のことを考えたら間違いなくプラスになるので、そこをモチベーションにしながらやっています」

 さて、ここまでの経験を踏まえ、もしも中学生、高校生の野球少年からアドバイスを求められたら、どんなことを伝えたいか? その問いにも少し考えて、「私が何か言えるとか、まだ全然ですけど」と断った上で、「挑戦することを恐れないで欲しい」と佐々木は、言葉に想いを込めた。

「先入観とか固定観念とか持たない方がいい。それは(大谷)翔平さんも言ってらっしゃいますが、やっぱり挑戦することに対して怖がったりした瞬間に人は多分逃げる方向に入っちゃう」

 佐々木自身、計画や準備の段階ではむしろ、「悲観的にしか考えない」という。矛盾しているようだが、常に最悪を想定して、最後は「なんとかなる」と開き直る。そこでスイッチを入れたら、英語を話すことも、野球をする上でのコミュニケーションも、野球そのものに対しても、決して失敗を恐れない。

「私も全然まだゴールにたどり着いているわけじゃないので何も言えないですけど、とにかく自分のことをやればいいんだと思って、自分としての信念、自分としての目標に対して一生懸命やっていく、継続していければ、必ずゴールに辿り着ける――そう思って歩んでいます。伝えられるとしたら、そういうことでしょうか」

 まもなく新学期が始まる。「いまは夏休みで学校もないので、自分を高める練習に集中できていますけど、学校に戻ると、また大変です」と佐々木は苦笑い。

「改めて、覚悟を決めます」

 すでに触れたが、来年2月から始まるシーズン中の負担を極力減らすため、秋学期には、出来るだけ多くの授業をとるつもりなのだという。

「とにかく秋は、勉強に力を入れたいと思います」

 佐々木麟太郎の挑戦――信念を貫き、愚直に継続を重ね、ゴール到達を見据える2年目が始まる。

(企画構成:スリーライト)

2/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント