角田の苦闘とアジャの躍進——レッドブルF1で明暗を分けた二人

柴田久仁夫

F1参戦15戦目で3位表彰台を射止めたイザック・アジャ。岩佐歩夢(写真左)もシミュレーター作業で貢献した 【©️Redbull】

9位と3位——角田とアジャの明暗

 夏休み明け緒戦のF1オランダGP。角田裕毅とイザック・アジャの結果は、残酷なほどに対照的だった。角田は久々に入賞を果たした。一方のアジャは、F1参戦わずか15戦目で表彰台に立った。

 不運なタイミングでのセーフティカー出動で順位を落とした上に、エンジン関係の不具合も発生。そんな逆風の中での9位入賞は、十分に評価に値する。5月のエミリア・ロマーニャGP以来、3ヶ月半ぶりのポイント獲得に、角田本人も安堵していた。

 対するアジャは、レッドブルの格下というべきレーシングブルズのマシンで、まずは予選で自己最高の4番グリッドをもぎ取った。そして決勝レースでは、3位表彰台を獲得。こちらは背後から迫るメルセデスのジョージ・ラッセルやフェラーリのシャルル・ルクレールらが次々に戦線離脱し、最後はマクラーレンのランド・ノリスがリタイアする幸運にも恵まれた。

 しかし勝負の世界では、「運も実力のうち」なのは言うまでもない。何よりアジャの3位表彰台は、4番グリッドを実力でもぎ取ったからこそだった。ルーキーで早くも表彰台に上がったアジャの大活躍の陰に、角田の9位入賞はすっかり霞んだ形となった。

ランキングが示す現実

逆境を跳ね返しての9位入賞は、十分に評価できる結果だった 【©️Redbull】

 そして数字は冷徹だ。ドライバーズランキングで、角田は全21人中19位。それより下には、ノーポイントのフランコ・コラピントとジャック・ドゥーハンしかいない。対するアジャは角田の3倍以上のポイントを稼ぎ、10位につけている。

 F1参戦5シーズン目の角田にとって、暫定とはいえ19位はワースト記録だ。マシンの戦闘力不足に苦しみ、3戦でしか入賞できなかった2年目の2022年でさえ17位だった。それが今季は、トップチームのレッドブルに移籍したにもかかわらず、順位はほぼ最下位。

 いや、むしろ「レッドブルに移籍してから」と言った方が正確だろう。今季開幕序盤のレーシングブルズ時代、そしてレッドブルに移籍した第3戦日本GP以降も、第7戦エミリア・ロマーニャGPまでは、コンスタントに入賞を重ねていたからだ。

 この時点での角田はまだ、ドライバーランキング12位だった。しかしそこから延々とノーポイントレースが続いたことで、順位をジリジリと落としていった。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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