戦い方への「迷い」「戸惑い」が成長の糧に 女子バレー日本代表の確かな変化と試合が面白い理由
カメルーン、ウクライナ、さらに大会2連覇中のセルビアを下す
バレーボール協会が発信する公式SNSで発信される選手のコメントを見ても、勝った喜びはもちろんだがそれ以上に口を揃えるのは「ここからが勝負なので気を引き締めて全員で戦いたい」と、前を見据える言葉と、「もっと精度を高く」「序盤から自分たちのペースで戦うこと」という課題。3連勝とはいえ、内容を見れば決して満足いくものではない。むしろ現状に満足するどころか選手の表情からは、厳しさすら感じられるのだが、周囲の反応はまた違う。
「女子バレー、面白いね」
連日の熱戦をテレビで見た、という人たちからそんな言葉を聞く。しかも一度ではなく二度、三度、同じ人ではなくまた別の人に会えば女子バレーの話題になり、選手の名前も口々に挙げられる。大会開幕前は「石川(祐希)選手の妹の真佑ちゃん」と言っていた人が、「キャプテンの石川真佑ちゃん」になり、2セットを落とした状況から勝利したウクライナ戦で両チーム最多の29得点を叩き出した石川の活躍に触れ、「立派なエースになった」と感心していた。
「皆が皆、思い切り叩いて打っているのがいい」
確かに。アウトサイドヒッターの石川、佐藤、オポジットの和田、秋本、そしてミドルブロッカーの島村、宮部藍梨。ネーションズリーグから出場機会を増やしてきた選手たちは皆、速いトスばかりでなく高いトスも打ち切る力と技術がある。供給される関のトスも、昨シーズンまでとは異なり、関自身も「叩ける選手が揃っているので高さを意識してきた」と言うのを何度も聞いた。
上背では劣る相手に対しても、しっかり助走に入って、しっかり跳び、しっかり叩く。シンプルな動作に見えるが、そこに対応できるだけのフィジカルがあってこそ為せるものであり、ネーションズリーグから世界選手権でもこれまで重ねてきた練習の成果が発揮されている。苦しみながらも3連勝を飾ったことは、何よりの証明だ。