ドジャース、ムーキー・ベッツに独占インタビュー 「データよりも大切なもの」イチローと重なる野球観とは?
練習前、少し早めにフィールドに姿を見せたムーキー・ベッツは、カージナルスの打撃練習を見つめていた。カージナルスは打撃練習のとき、トラックマンのデータをセンターの大型モニターと連動させ、1球1球、ランチアングル、打球初速、飛距離などを表示している。
ベッツに後ろから、「ああいう数字を気にしている?」と声をかけると、「自分の数字は、ことごとく下位だから、まったく気にしない」と振り向きながら苦笑した。
「打球初速が速いからといって、必ずしもヒットになるわけじゃないし」
かつて、同じような言葉を聞いたことがある。それを口にしたのは、イチローさん(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)だった。
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ベッツに聞いたイチローさんの印象
「(スイングスピードを速くするだけなら)頭を使わないやつにもできる」
さらにこう言ったのだった。
「スイングスピードや、いま(球場によっては)打球のスピードが出るところもあるけれど、あんなこと、なんの役にも立たないことかがわかるわけだよね。やっている選手にとっては」
そのことをベッツに伝えると、「えっ、イチローが、そんなことを言っていたの?」と興味を示した。
残念ながら、それからすぐに練習が始まったため、会話は中断。その後、ゆっくり話す機会がないまま、1年が過ぎた。
先月、ニューヨーク州クーパーズタウンで米野球殿堂入りセレモニーが行われ、イチローさんのユーモア溢れるスピーチが話題になったが、先週月曜日、デンバーでベッツと雑談しているとき、その話になった。
「映像を見たわけじゃないけど、すごいユニークなスピーチだったって聞いた。でも、驚かないかな。イチローを知っている人はみんな、『あいつは、ユーモアのセンスがあって、野球に対してストイックに見える反面、話をするとすごい面白い』って言うから」
そのベッツに、現役時代のイチローさんはどう映っていたのか? ベッツは2011年にドラフトされ、2014年にメジャーデビュー。同時期にプレーしていたことになるが、「ほとんど接点はない」と振り返った。「自分がレッドソックスでデビューしたとき、イチローはヤンキースにいたけど、話をした記憶はない」。
しかし、「はっきり覚えていることがある」という。
「やはり、広角に打ち分ける技術、バットに当てる技術は、芸術的だった」
イチローさんが打撃練習を始めると、思わず見入った。
「やろうとしていることに明確な意図が感じられたし、何球も連続でスタンドに打球を放り込んでいた。彼がもし、本塁打を狙っていれば、30本は打てたと思う」