連載:世界バレー2025・特別企画「各ポジションの流儀」

攻守を司る「最後の砦」 福澤達哉が語るアウトサイドヒッターの指命

田中夕子

「負けないチーム」への進化 世界選手権のカギ

今年のネーションズリーグでは6位だった日本の男子。世界選手権ではさらに上位を狙う 【写真は共同】

福澤 世界のトップ4まであと一歩。日本代表は、世界からマークされる存在になりました。間もなく始まる世界選手権でも、相手は徹底的に研究してくるはずです。予選リーグからタフなゲームになると思いますが、それでもゆるぎない強さが今の日本にはある。それが、レシーブと、つなぎのプレーです。
 
 監督や選手が代わった中で最初の大会となったネーションズリーグでも、「これが日本の生命線」だという意識は根づいていました。ではここから日本がもうひと段階上のステージで戦うためには何が必要か。それは「負けないチームにしていく」ことです。

 世界のトップ4に入る、強豪と呼ばれるチームはいかなる状況でも必ずカムバックする。なぜできるかと言えば「ここで負けない」というプライドがあるからです。プライドを得るための、最初のスタートが「常勝チームになること」。もちろん試合によって好不調はありますが、サーブが入らない、サーブレシーブが乱れた、という状況でも個のパフォーマンスに頼るのではなく、「これさえできていれば絶対に負けない」というゆるぎない自信やプレーを作り上げることです。
 
 プレー1つ1つのクオリティを追求するのも大事ですが、完璧を求めすぎればマイナスに働くこともあります。だからこそ、練習ではクオリティを追求しながらも試合の中ではゲームの流れを読み、打開できるオプションを持って、ゲームをコントロールする。その柱になるのが、すべてのプレーに関係するアウトサイドヒッターなのです。
 
 セッター、リベロ、ミドルブロッカー、オポジット。すべてのポジションに役割があり、大切なことに代わりはありません。でも、ここが崩れたら立て直せない「最後の砦」であるアウトサイドヒッターたちが、世界の最高峰でどんな戦いを見せるか。ぜひ、注目して下さい。

(企画・編集/リファイド)

福澤 達哉(ふくざわ・たつや)

【ⓒOSAKA BLUTEON】

1986年7月1日生まれ、京都市出身。189センチのアウトサイドヒッター。小学4年からバレーボールを始め、洛南高から中大法学部に進学。1年時に日本代表に選出され、05年ワールドリーグで代表デビュー。08年の北京五輪はチーム最年少で出場した。翌09年には、アジア選手権で2年ぶりの優勝に貢献、最優秀選手賞を受賞。
ワールドグランドチャンピオンズカップでは日本男子32年ぶりの銅メダルを獲得し、ベストスパイカー賞を受賞。以降、長きに渡り日本代表の主力として活躍。
クラブとしては、2009年にパナソニックパンサーズ(現:大阪ブルテオン)に入団。
国内タイトル3冠を3度達成するなどチームの優勝に貢献。15~16年にブラジル、19~21年にフランスでプレーするなど海外にも活躍の場を広げる。
2021年8月、現役引退。現在は、パナソニックグループで社員として働きながら大阪ブルテオンアンバサダーやバレー解説などで幅広く活動している。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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