メジャー帰りで直面する“狭間” 福留孝介氏も経験…藤浪や上沢の決断に寄せる思い
NPB復帰後も輝き続けるのは容易くないが、濃密なベテラン期を過ごしたレジェンドたちは少なくない。MLBで5年間プレーし、35歳で日本球界に復帰してから阪神と中日で10年間に渡って現役生活を送った福留孝介氏も、そのひとり。米国での経験、日本に戻るタイミング、年齢による変化……。自身のキャリアを振り返った上で、息の長い選手には“共通点”があるとみる。(取材日:8月12日)
35歳で加入…阪神で「8年もやれた」理由
自分の中にはないアメリカなりの練習の仕方や教え方を取り入れられたのは大きかったですね。日本に戻ってから自分が歳をとった時に、(メジャーでの経験を)応用したら今の自分に使えるかなとか、いろいろと試すための引き出しは増えましたね。
――考え方やメンタルの面では?
アメリカの選手は先輩・後輩関係なくフレンドリーで、野球を楽しんでいるという感じでしたね。僕はPL学園から日本生命に行って、(中日入団で)星野(仙一)さんのもとに行って――、だったので。“楽しく”というのはあまり経験がなく(苦笑)。向こうの選手を見ていると、野球が好きだからこそ楽しんでいるんだなというのは思いましたね。
――いい意味での“上下関係のなさ”は、今の日本球界を見ても感じるところがあるのでは?
若い選手たちを見ていても、頭ごなしにっていうのはもう通用しないですし、年上だからといって偉そうにする必要もない。時には先輩・後輩という関係は必要なんでしょうけど、ある程度対等な関係でいるということが大事なんだなと。そう思えたのも、アメリカの選手たちを数多く見てきたからなのかもしれません。
――成績だけ見れば、メジャー挑戦前の中日時代の方が優っていますが、NPB復帰後に成長したと思えることはありますか?
若い時は反応で補えていたものが、年齢を重ねていって補えなくなった時、じゃあ自分の今までの経験を引き出しにして勝負してみようと。そういうことが、日本に帰ってきてから成長したところじゃないですかね。(自分本位で考えず)“周りをよく見る”というんでしょうか。たぶん、メジャーから帰ってきた選手ってそうなんじゃないかなと。(松井)稼頭央さんしかり、青木(宣親)しかり、五十嵐(亮太)にしてもそうだし。ひとつひとつの行動に意図があったり、パッとした声かけだったり。年齢がいっても、すごく周りをよく見ている人が多い。
――ご自身がNPB復帰後に10年間もプレーできた一因でもあると?
そうだと思います。タイガースで8年もやれると思っていなかったですが、40歳を超えてもやらせてもらえた。どんどん勢いのある若い選手が出てくる中で、僕は一歩引きながら考えてプレーをする。見え方や捉え方が(他選手とは)大きく違うというか、他の選手が気づかないところに気づくというのが、チームには必要なんだと思ってもらえたからこそ、長くやらせてもらえたんだなと。
――長く現役を続けられた方々に通じる点ですね。
日本に帰ってきた黒田(博樹)さんと対戦した時にも感じましたね。メジャーに行く前の黒田さんだったら真っ直ぐ真っ直ぐってなっていたところが、帰ってきた時は内外の出し入れだったり、タイミングを変えたり、駆け引きがあって。「このピッチングが今の俺なんだ」という意思を打席の中で感じました。