シダマツ、悲願のメダルで有終の美を 最後の世界選手権で鬼門となるのは?

平野貴也

鬼門の準々決勝がヤマ、ジャパンオープンの再現なるか

7月のダイハツジャパンオープンでは、初めて準々決勝を突破。勝ちたい大会ほど重圧は強まるが「シダマツ」らしさで乗り越えたい 【平野貴也】

 4度目の挑戦となる今大会は、第3シードで2回戦から。初戦で日本の若手ペアである大竹望月/高橋美優(BIPROGY)と対戦する可能性がある。松山は「初戦が日本人対決になりそうなところは、足をすくわれないように、まず初戦を見据えて取り組んでいければと思う」と警戒心を示した。いきなり同国対決のプレッシャーを受ける可能性があるのは難点だが、組み合わせや実力を考えれば、8強進出の可能性は十分だ。

 準々決勝で対戦する可能性が高いのは、7月のダイハツジャパンオープン(スーパー750)の準々決勝で2-1の逆転で破った、キム・ヘジョン/コン・ヒヨン(韓国)。再び4強進出をかけて激突するかもしれない。志田は「ジャパンオープンでは(相手の韓国ペアが)悔しい思いをしているのは分かる。自分たちがああいう(逆転の)負け方をすれば、次は絶対に負けない気持ちでとなる。(再戦しても)受けにならないように、挑戦する気持ちを忘れず、いいぶつかり合いができたらいい」と連続して同じ相手に勝つ難しさは承知の上で、積極性を失わずに臨む姿勢をのぞかせた。

 世界選手権は3位決定戦が行われない。ラストチャンスで初のメダルを獲得できるかは、準々決勝で決まる。ダイハツジャパンオープンも世界選手権と同様にベスト8が最高成績だったが、ペア解消を発表して最後の挑戦で、鬼門となっていた準々決勝の突破に成功した。勝ち上がりを再現したいところだ。

厳しい世代交代を越えたエース「シダマツ」が見せる、最後の戦い

「シダマツ」の愛称で知られる2人。ペアとしての最後の挑戦の結末は、いかに 【平野貴也】

 女子ダブルスは、日本が世界と戦う上で、先頭を走ってきた種目。2016年リオデジャネイロ五輪で髙橋礼華/松友美佐紀が日本初の金メダルを獲得して以降も、選手層が厚く、2018年と19年の世界選手権は、日本勢対決になった。志田/松山は、ハイレベルな先輩ペアが多い中で、次世代のエース候補として台頭した。

 しかし、日本A代表に入った2020年に世の中がコロナ禍となり、世界での経験値を積む大事な準備期間を失い、世代交代は苦しい戦いだった。福島由紀/廣田彩花や、松本麻佑/永原和可那といった東京五輪代表が健在の中、24年パリ五輪の出場権獲得レースでは、序盤にプレッシャーで潰れそうになった時期もあった。しかし、厳しい戦いの中で成長。1番手で出場権を獲得した五輪に日本のエースとして臨み、メダルを勝ち取った。

「シダマツ」は、過去のペアにはない特長がある。ダブルスは、主導権を握ったペアが縦並びになり、守勢のペアが横並びで守る。日本では、守備力が高いペア、前後の役割が明確なペアが多かったが、シダマツは、ともにスピードがあり、テンポの早いラリーが得意だ。前衛の松山、後衛の志田が入れ替わっても攻撃力を落とすことなく、主導権争いで相手コートに押し込んでいく。前衛の松山は、特に攻撃力に優れている。相手の返球をネット前で捉える力は、世界トップクラス。後衛に回っても強烈なスマッシュをたたき込む。当初は力任せな面があったが、強・弱で相手を崩せるようにもなった。後衛の志田は、攻撃では、相手の甘い返球を生んで松山に仕留めさせる役目が多かったが、今季は自らネット前へ攻めて行くプレーも増加。また、守備ではバレエ仕込みの軟体を生かして、どれだけ体勢が崩れてもレシーブを相手コートに返す力がある。

 スピード感のあるフットワークとコンビネーションの中で、互いの特長が生きれば、メダル獲得の可能性は高い。日本のエースに成長した「シダマツ」ペアの挑戦を締めくくる大会。有終の美を飾る、メダルを持ち帰りたい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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