シダマツ、悲願のメダルで有終の美を 最後の世界選手権で鬼門となるのは?

平野貴也

パリ五輪で銅メダルを獲得した志田(左)/松山は、世界選手権を最後にペアを解消する 【平野貴也】

 いよいよ「シダマツ」ペアが、最後の舞台に挑む。世界バドミントン選手権は、8月25日にパリで開幕する。女子ダブルス、志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)の「シダマツ」ペアは、今大会を最後にペアを解消する。最後の舞台は、1年前にパリ五輪の銅メダルを獲得したアディダスアリーナだ。世界選手権には21年から3年連続で出場したが、いずれも準々決勝で敗退。メダルには手が届かなかった。ペアとして国際大会に挑む最後の機会に、初のメダルを手にして歓喜のフィナーレを迎えられるか注目される。2人を含む日本代表チームは、8月15日から21日まで東京都北区のナショナルトレーニングセンターで強化合宿を行い、22日にパリへ出発した。

 強化合宿2日目の8月16日には、練習が報道陣に公開され、2人は練習後に取材に応じた。松山は「絶対に優勝したいという気持ちは強いですけど、優勝がすごく遠いのも分かっていますし(結果を意識し過ぎて)自分たちのプレーを出せないと悔いが残る。まずは、自分たちらしさをしっかり出せればと思います」と、ペアとしての特長を発揮することを優先する姿勢を示した。志田は「(ペア解消発表後の大会で)あらためて、たくさんの方に応援していただいていると感じた中で、負けるとその分悔しさもあった。世界選手権では、たくさん、シダマツの試合を見ていただけたらいいなと思いますし、最後になりますけど、シダマツのダブルスって楽しかったなと思っていただけるようなプレーができたらいい」と最後までペアとしての輝きを放ち続ける意気込みを示した。

異なる悔しさの過去3大会、いずれも準々決勝で敗退

 過去3回の挑戦は、いずれもベスト8だが、それぞれに異なる味わいだった。初挑戦の2021年は、勢いと自信に満ちた挑戦を跳ね返された。初めて日本A代表に選出された2020年は、早々にコロナ禍で大会の多くが中止となり、試合出場の機会が限られた。21年になると、大会が開催されるようになったが、各国の方針にばらつきがあり、いずれかの強国が参加しない中での試合が多かった。その中で、一気に上位に食い込んだ。秋には、BWFワールドツアー最高峰のスーパー1000であるインドネシアオープンで優勝。年間成績上位者のみが出場できるBWFワールドツアーファイナルズで準優勝。トップを争える自信を得て挑んだのが世界選手権だったが、当時世界ランク2位の陳清晨/賈一凡(チェン・チンチェン/ジァ・イーファン=中国)に完敗。勢いだけでは足りないと思い知らされた。

 2度目は、東京開催の2022年。スーパー1000の全英オープン、インドネシアオープンを優勝し、世界トップクラスの仲間入りを果たした2人は、強力な選手層を誇る日本の新たなエース候補として存在感を示し始めていた。自国で大きな期待も集まる状況で、五輪を想定して挑んだが、世界ランク4位の金昭映/孔熙容(キム・ソヨン/コン・ヒヨン=韓国)に完敗。落ち着かない様子のまま、力を出し切れずに敗れたのが印象的で、プレッシャーとの向き合い方を課題として突き付けられた大会だった。

 2年前にコペンハーゲンで開催された2023年大会では、パリ五輪で金メダルを獲得するチェン/ジァ(中国)を相手に健闘したが、1-2で敗れた。確実に力をつけ、しかも実力を発揮できたのにメダルには届かないという難しさを味わった。勢いだけではダメ、プレッシャーに負けるようでもダメ。力を発揮しても相手を越えなければダメ。振り返ってみれば、シダマツに多くの学びを与え、このペアを強くしてきた大会とも言える。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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