荒木絵里香が明かすミドルブロッカーの神髄 数字に残らない「献身」の重要性
荒木によると、ミドルブロッカーとは、数字や結果では見えづらい「献身」だと言う。戦術やルールも変遷し、「男子化が進んできた」女子バレーの世界で、ミドルブロッカーが果たす役割とは何か。そして世界選手権に挑む後輩たちに何を期待するのか。荒木に話を聞いた。
記録には残らないミドルブロッカーの「献身性」
具体的には、ポジション名に「ブロッカー」という言葉が入っている通り、ミドルブロッカーの最も重要な仕事はブロックです。ブロックは相手からボールが向かってくるときの「最初の守備」であり、同時に得点を取るための「攻撃」と捉えることもできます。ブロックの際には、事前のデータと目の前の状況を瞬時に整理していました。相手に得点させず、自分たちのチャンスにつなげるためには、「どこへ」「どうやって」跳ぶのが最も効果的か?考えながらプレーしています。
また、ミドルブロッカーの役割はそれだけではなく、クイックを中心としたアタック攻撃にも積極的に参加します。自分が攻撃に参加することで相手ブロックを引きつけ、味方のアタッカーを楽にさせる役割も担うんですよ。記録に残らないところで、いかにチームのために仕事ができるか。現役生活を振り返れば、そういうところをずっと追求し続けてきました。
私がバレーボールを始めたのは小学5年のことです。当時からずば抜けて身長が高かった私は、引退するまでずっとミドルブロッカーの一択でした。ブロックの動きの1つ1つはもちろんのこと、ブロックのあとにすぐに助走に入って攻撃に参加するという意味では、他のポジションとはまた違う動きが求められるので、学生時代はレベルが上がれば上がるほど何をしていいかわからなかった。ネットから3mほどの距離をグルグル回っていただけの時期もありました(笑)。
追いかけたミドルブロッカー像とチームのあり方
「何がいいブロックか」「どんなブロックが上手とされるのか」簡単なようで実は答えは難しい。繰り広げられるコンマ数秒の世界で、どれだけ手が出せるのか。近年は、ブロックを単独で考えるのではなく、いかにレシーバーと連動してディフェンスできるかという「トータルディフェンスの構築」も重要になってきています。サーブ、ブロック、ディグまでの一連の精度を高めて、自分たちのオフェンスの機会を創出することは、何よりも重要なことです。ブロックを練習から常に全力でこだわって取り組むことで、自分が抑えられる範囲や抜けるボールの傾向を自チームのディガーにも理解してもらえます。
普段から1本1本全力で移動して、行けるところまで行ってから全力でブロックに跳ぶ。それがコミュニケーションでもあると思っていたので、「私はここまで行けるよ」と後ろにいるレシーバーに対してプレーで伝えてきたつもりです。どんな状況でも連携を高めてプレーするために、練習が全てだと考えています。(木村)沙織とのブロックディグの関係性は、長年やってきたことで構築できました。試合の中で抜けたボールにアジャストしてくれることや上手くハマっていくのは、楽しかったです。
ミドルブロッカーの仕事は、1本1本すべてが数字や結果で示されるわけではありません。玄人好みなポジションではありますが、どれだけ強いインパクトを与えることができるか。「この人が前衛に来ると嫌だな」「何かしてくるだろうな」相手にそう言わせることが、ミドルブロッカーにとって最高の誉め言葉かもしれません。