バドミントン新星・宮崎友花のジレンマ 初の世界選手権で探る進化のきっかけ

平野貴也

高卒1年目の宮崎友花は、19歳の誕生日を迎えたばかり。今後が楽しみな選手だ 【平野貴也】

 変わりゆく立場の中で、足下を見つめ直し、前進の道を探る。世界バドミントン選手権(8月25日開幕、パリ)に初出場する女子シングルスの宮崎友花(ACT SAIKYO)は、メンタルコントロールに慎重な姿勢の中で、静かに闘志を燃やしている。大会直前の日本代表合宿中に19歳の誕生日を迎えたばかりの若手でありながら、昨季の全日本総合選手権の女王。2028年ロサンゼルス五輪に向けた、期待の星だ。世界ランクは、8位(8月19日更新時)。世界選手権も、第8シードで臨む。

 立ち位置やポテンシャルを考えれば、初出場でのメダルも期待したくなるところ。ただ、誕生日前日の8月16日、報道陣に囲まれて意気込みを聞かれた宮崎は、慎重な姿勢で「一つの大きな大会とは考えているんですけど、まだまだ、結果も出していない。すごく大事な大会と思い過ぎるのも良くないというか、自分自身にプレッシャーをかけてしまう。(例えば、ワールドツアー最高峰のスーパー)1000だから頑張るとか、グレードが高くない試合だから(かける力を)落とすとか、そういうのはないので、とりあえず、1試合1試合頑張りたいなと思っています」と話すに留めた。7月のダイハツジャパンオープンで優勝を目標に掲げたのに比べると、随分と控えめだった。

昨年、高校生ながら世界トップに迫る飛躍

世界選手権には初出場。期待が膨らむ一方、望む結果が出ていない苦しさも抱えている 【平野貴也】

 背景には、急激な舞台の変化に合わせて、楽しさや期待が膨らむ一方、思うようなプレーができず、望む結果が出ていない苦しさがある。宮崎は、24年に日本A代表入り。少しずつ世界ランキングポイントを稼ぎ、レベルの高い国際大会に出場できるようになっていった。24年3月にBWFワールドツアースーパー300のオルレアンマスターズを優勝。同年9月にスーパー500の香港オープンでベスト4。さらに最高峰スーパー1000の中国オープンでは、この種目の日本のエースである山口茜(再春館製薬所)を破って決勝へ進んで準優勝するなど、一気に世界トップの仲間入りを果たす勢いを見せた。

 年が明けて、25年1月には、世界ランクは7位まで上昇。自信も期待も膨らむ一方だ。世界ランクが上がった分、シードを確保できるようになり、トップ選手との早期対決はなくなった。ならば、安定して上位に進み、トップ選手に挑戦しようと考えるのは自然なことだ。より大きな世界ランキングポイントが設定された大会での勝負に対し、意気込みも強くなる。

シード選手となり、狙われる立場の難しさに直面

 ところが、今季は序盤こそ好調だったが、6月以降は、早期敗退が続いている。優勝を目標に掲げたダイハツジャパンオープンも2回戦負け。3月に高校を卒業後、社会人となって成績をさらに飛躍させると期待される中、思うようにいかず苦しんでいる。宮崎は「今までだと、向かって行く試合が多かったんですけど、今は(世界ランクも上がって、マークされて)球が読まれたりして、相手に良いペースをつかまれることが多いので、自分の球に迷いが少し出てきた部分も(ある)。もうちょっと勇気を持って、良いプレーというか、自分らしいプレーができたらいいなと思います」と話した。

 最近は、宮崎の長所であるオーバーハンドショットが警戒され、良い体勢で打てる機会が減っている。思うようにいかない試合が増える中、フラストレーションを抱えて強引に攻めることでミスが増える悪循環も生まれている。立ち位置が変わった今は、対応力が求められている。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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