メジャー帰りの日本人選手たち

優勝の立役者になった“出戻り”日本人メジャーリーガー10選 MLB帰りの男たちがNPB復帰後につかんだ栄光

赤星元信

2003年、7年ぶりに日本球界へ復帰した伊良部(写真左)は13勝を挙げリーグ優勝に貢献した 【写真は共同】

 1995年に野茂英雄(近鉄)がドジャース入りして以来、70人を超える「日本人メジャーリーガー」が誕生した。しかし今季の藤浪晋太郎(DeNA)のように出戻る選手も多い。そこで、帰国後に優勝に貢献した“出戻り”日本人メジャーリーガーの功績について紹介する。

男気あふれる大エースの古巣出戻り

伊良部秀輝(ヤンキースほか→2003年阪神リーグ優勝)

 ロッテ時代の伊良部秀輝は160キロに迫る豪球で、「最多勝」「最優秀防御率」「最多奪三振」のタイトルを獲得した。ヤンキースでは1998年13勝、99年11勝で日本人初のMLBチャンピオンリングを2年連続で手にした。

 一方で、一塁ベースカバーを怠り、名物オーナーのスタインブレナーから「彼は太ったヒキガエル」だと酷評された。

 阪神の監督に就任した星野仙一監督は2003年に大補強を敢行する。伊良部(レンジャーズ。03年13勝)、下柳剛(日本ハム。03年10勝)、ジェフ・ウィリアムス(ドジャース。03年25セーブ)、金本知憲(広島。03年77打点)だ。最終的には2位中日に14.5ゲーム差をつけたが、優勝を決めた星野監督の第一声は「あー、シンドかった」。それだけに伊良部の13勝は、18年ぶりとなるリーグ優勝の大きな要因だった。

石井一久(ドジャースほか→2008年西武日本一)

 2002年メジャー入りのとき、バッテリーを組んでいた古田敦也(ヤクルト)は「メジャー1年目にどれだけ好スタートを切れるかがカギ」と語っていた。石井は14勝を挙げ、メジャー4年間で合計39勝をマークした。

 古田の兼任監督就任に合わせ、「いざ鎌倉」とばかり、メジャーにいた高津臣吾とともに06年ヤクルトに出戻った。しかし、古田兼任監督の解任、兄貴分・高津の退団もあって、08年西武にFA移籍。

 メジャー入り前は奪三振と与四球が半々のような荒れた投球だったが、帰国後はスライダーとチェンジアップのコンビネーションで打たせて取る技巧派に変身。

 08年西武で11勝を挙げ、渡辺久信監督就任1年目の日本一に貢献した。

岡島秀樹(レッドソックスほか→2014年ソフトバンク日本一)

 巨人で2001年に25セーブ、日本ハムで06年に20ホールドをマークしたリリーバー。

 07年レッドソックスにFA移籍し、66試合登板、3勝5セーブ27ホールド。岡島のいわゆる“あっち向いてホイ”投法は、メジャーリーガーも打ちづらかったと思われる。貢献度は先発で15勝をマークした同僚・松坂大輔に勝るとも劣らないと評価された。続くワールドシリーズに日本人メジャーリーガーとして初登板を果たした。

 14年は「秋山幸二・ソフトバンク」で44試合登板、4勝27ホールド。スタンリッジ、中田賢一ら先発から、岡島、五十嵐亮太の左右の中継ぎ、そして抑えのサファテにつなぐ「勝利の方程式」の“定数”として日本一のピースになった。

メジャー球団からの高額オファーを断り古巣復帰を決断した黒田。男気を貫きファンを魅了した 【写真は共同】

黒田博樹(ドジャースほか→2016年広島リーグ優勝)

 黒田博樹が日本球界に復帰すると聞いたとき、誰もが耳を疑った。ドジャースとヤンキースの名門2球団で活躍し2014年までの7年間で合計79勝。衰えているわけでもない。しかも20億円超とも言われる年俸を捨て、推定年俸4億円の広島に電撃復帰したのだ。

 さかのぼること06年、黒田のFA移籍が取り沙汰されるなか、広島球場の外野スタンドにファンからの巨大な横断幕が出現した。「我々は共に闘って来た 今までもこれからも… 未来へ輝くその日まで 君が涙を流すなら 君の涙になってやる Carpのエース 黒田博樹」。

 心を強く動かされた黒田は、いつ終わるかわからない投手生命ならば「最後の1球は広島で投げたい」という思いをそのときから秘めていたのだ。

 15年11勝、16年10勝。16年の広島は1991年以来、実に四半世紀ぶりの勝利の美酒に酔う。41歳黒田は16年に日米通算200勝を達成。両手に花で、これ以上ない有終の美を飾った。

平野佳寿(ダイヤモンドバックスほか→オリックス2021年リーグ優勝、22年日本一、23年リーグ優勝)

 2018年、ダイヤモンドバックスで75試合32ホールド、19年には62試合15ホールドをマークした平野だったが、日本人がメジャーリーグでクローザーを務めるのは難しい。

 藤川球児(阪神、カブスほか)が日本243セーブ+米国2セーブ。小林雅英(ロッテほか、インディアンス)が日本228セーブ+米国6セーブ。現役メジャーリーガーの松井裕樹(楽天、パドレス)が日本236セーブ+米国1セーブ(8月15日現在)といった具合だ。

 平野は日本に帰国するや21年に29、22年に28、23年に29のセーブを挙げ、「日米通算250セーブ」を達成して超一流の「名球会」入りを果たした。同時に中嶋聡監督のもと、山本由伸(現・ドジャース)らとともにリーグ3連覇を達成。

 ちなみにリリーバーの名球会入りは、岩瀬仁紀(中日)が日本通算407セーブ。佐々木主浩(横浜、マリナーズ)は日米通算381セーブ、高津臣吾(ヤクルト、ホワイトソックスほか)が日米通算313セーブ。平野は史上4人目の快挙である。

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