山下の全英Vは“パワー至上主義”に一石投じる快挙 「過去の日本勢メジャー制覇と全く違う」原江里菜が解説
「自分のスタイル」を最後まで貫いた
「見届けさせてもらえて、本当によかったです」
U-NEXTのライブ配信コンテンツ「日本勢密着マークチャンネル」で、3日目、最終日と山下美夢有のラウンド解説を担当。専用カメラを山下組に3台配置し、一挙手一投足を追い続ける配信で、文字通り快挙の一部始終を見届けていた。
「普通の配信とは違う見方ができて、貴重な体験でした。通常の配信だとどうしても、プレーの映し方が断片的になりますけど、密着マークチャンネルはいいところも、悪いところもすべて観ていくことができるので」
しみじみとうなずきながら、語気を強めて言う。
「これまでの日本勢のメジャー制覇とはまったく違う意味合いが、山下さんの優勝にはある気がしています」
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――山下のプレーをどう見たか。
原 3日目、最終日と続けて36ホールを見たので、その間でも変化があったように感じました。初日から3日目の序盤までは、素振りの途中にボールがあるというような感じで、まったくよどみのない理想的なスイングをしていました。
3日目の途中から、左にボールが行くのを嫌がったのか、インパクト前後でフェースを閉じきれなくなる傾向が出て、急にフェアウェーキープができなくなっていましたが、最終日にはそれも完全に修正されていました。
そういう理想のスイングができている時のショット精度は、もう圧巻としか言いようがないのですが、もうひとつすごいなと思ったのは、スタイルがぶれていないことです。
これだけじっくりと山下さんのプレーをみる機会はしばらくなかったのですが、国内女子ツアーでやっていた当時と比べて、まったくスタイルが変わっていないんですよね。断片的にプレーが映ってくる通常の中継や、ニュース番組で流れるハイライト映像などをみているときには、なんとなく流してしまっていたのですが、2日間続けて観たことで「間違いなく変わっていない」と確信させてもらえた気がします。
――スタイルがぶれていないことが意味するところとは?
原 ずっと以前から、海外のツアーで活躍するにはやっぱりパワーゴルフが必要、という風に言われてきました。私もスポット参戦ではありますが、海外メジャーに何度か出場させてもらって、海外勢のパワーに目を奪われて「自分もそうじゃないと」と思わされました。
アメリカ女子ツアーに参戦した選手などは、必ずパワーゴルフ志向みたいなものを持ちますし、今の国内女子ツアーでも「いずれ世界で活躍するために」とパワーは重視されている気がします。中には、パワー志向にシフトをしようとするあまり、本来のスイングバランスを崩してしまったプロもいます。
実際、これまで海外メジャーで優勝を果たした選手、優勝争いに加われている選手は、みなパワーゴルフへの順応がある程度できていた気がします。笹生優花さんはその最たるもので、世界屈指のパワーを持っている。渋野日向子さんもフィジカルに恵まれているし、西郷真央さん、古江彩佳さんも大柄ではないですがパワーはある。
でも、山下さんは違う。国内女子ツアーの中でも、ドライバーの飛距離ランキングではかなり下位にいました。アメリカ女子ツアーにいけばなおさらですが、それでもまったく飛距離を求めたスタイル変更をせずに戦っています。