全英女子OP 「プレースタイルを貫いた」日本勢が躍進 首位タイ・竹田麗央の精神力には東尾理子も感銘
「自分のスタイル」を貫く強さ
東尾理子プロ(以下東尾)「穏やかなコンディションだったとはいえ、これほど日本勢が上位を占める展開になるとは…。まさに「世界を驚かせる」結果になったのではないでしょうか」
この快挙の最大の要因として、選手たちが‟自分の「プレースタイル」を貫いていること”を挙げる。
東尾「海外、特にアメリカのツアーに参戦すると、多くの選手がゴルフのスタイルを変えることを考えるようになります。アメリカやヨーロッパ出身の周りの選手のプレーが目に入り、どうしても目移りしてしまうのです。
より遠く、高く飛ばそうとスイング改造をはかったり、硬いグリーンにしっかりとボールを止められるようにとフェードボールを習得しようとしたり…。しかし、それが結果的に自分の持ち味を消してしまったり、スイングのバランスを崩すことにつながったりして、スランプに陥るケースは少なくありません。
しかし、最近の米女子ツアーや海外メジャーで活躍している選手たちは違います。例えば、今回も好スタートを切った山下選手は、決して飛距離が出るタイプではないですが、スタイルがまったく揺らいでいません」
山下は1打差の3位と上々の滑り出しとなった。精密機械のような安定したスイングで、4番から4連続バーディー。9番パー5では第2打を2メートルにつけてバーディーを挙げるなど、特に前半は圧巻のプレーだった。
東尾「彼女もそうですし、古江彩佳選手などもそうですが『私はドローボールでしっかり攻める』という強い意志も持っています。レベルの高い選手が多いフィールドに入って目移りせず、自分のゴルフスタイルを極めていこうとする姿勢が、メジャーという大舞台での結果に繋がっているように感じます。
これは、個人個人の技術的な強さや精神的な成熟に裏打ちされたものでもありますし、渋野日向子選手や笹生優花選手がメジャーで勝って『日本勢も十分に戦える』と示してくれたこともあると思います」
失敗を乗り越えるメンタリティ
東尾「バーディーを取りたい9番パー5でダブルボギーをたたいたのは、かなり痛かったと思うんですよね。第2打をOBとするという形も、ショックだったんじゃないのかなと。
でも、そこから崩れてしまわずに、後半に4つのバーディーを奪い返すというのは、並大抵のことではありません。精神的な強さでしょうし、すでに何度もメジャーで優勝争いをしている経験、自信があるんだろうなとも思います」
国内女子ツアーからのスポット参戦で、直前に出場が決まって急きょ渡英した桑木志帆のプレーにも、可能性をみてとっている。
東尾「まだ日本でプレーしていますが、スポットのメジャー参戦を重ねてすごくいい経験を積んでいるようにみえます。
直近のメジャー出場となった全米女子プロ選手権では、わずか1打差で予選を通過できないという、非常に悔しい思いをしました。海外では少なくないのですが、同伴競技者のスロープレーに巻き込まれて、プレーリズムを保ちにくくなるという難しさに直面しての予選落ちでした。
桑木選手と話をする機会があったので、全米女子プロ選手権のことを聞いてみました。『すごくいい勉強になりました』とすごく前向きに話していたのが印象的でした」
普通なら引きずってしまいそうな失敗を、ポジティブな学びとして次に繋げる――。急きょの出場となった今大会にも前向きにチャレンジしていけるメンタリティ、経験値を持っていると、東尾プロはみている。
東尾「最終日は天候が悪化するという予報が出ています。強風の中でよりプレー精度が問われる状況になれば、ショットメーカーの桑木選手が急浮上してくる、という展開は十分にありえると思います。逆境を乗り越える力、メンタリティをつけてきていることも、上位争いの中では必ず支えになるはずです」