全英女子OP 「プレースタイルを貫いた」日本勢が躍進 首位タイ・竹田麗央の精神力には東尾理子も感銘

塩畑大輔

全英女子オープン初日のリーダーズボードは日本人選手が独占した 【撮影:吉本礼遵(U-NEXT)】

 今季メジャー最終戦、全英女子オープンの初日は驚きの展開に。リーダーズボードの上位を日本勢が独占した。メジャーでの優勝争いを経験している竹田麗央、山下美夢有だけでなく、国内女子ツアーからスポット参戦する岡山絵里、桑木志帆らも、世界にその名を知らしめた。なぜ彼女たちは、世界の強豪を相手にこれほどの強さを見せつけたのか。米女子ツアー経験者で、今大会ではU-NEXTのライブ配信で解説を務める東尾理子プロが、躍進の秘密を分析した。

「自分のスタイル」を貫く強さ

4連続バーディーを奪うなど、初日を1打差3位タイで終えた山下美夢有 【Photo by Oisin Keniry/R&A/R&A via Getty Images】

 午前3時。U-NEXTのライブ配信での解説を終えた東尾理子プロは、実況を務めた工藤三郎さんと「今日のリーダーズボードの写真は、記念にほしいですよね」と笑いあっていた。

東尾理子プロ(以下東尾)「穏やかなコンディションだったとはいえ、これほど日本勢が上位を占める展開になるとは…。まさに「世界を驚かせる」結果になったのではないでしょうか」

 この快挙の最大の要因として、選手たちが‟自分の「プレースタイル」を貫いていること”を挙げる。

東尾「海外、特にアメリカのツアーに参戦すると、多くの選手がゴルフのスタイルを変えることを考えるようになります。アメリカやヨーロッパ出身の周りの選手のプレーが目に入り、どうしても目移りしてしまうのです。

 より遠く、高く飛ばそうとスイング改造をはかったり、硬いグリーンにしっかりとボールを止められるようにとフェードボールを習得しようとしたり…。しかし、それが結果的に自分の持ち味を消してしまったり、スイングのバランスを崩すことにつながったりして、スランプに陥るケースは少なくありません。

 しかし、最近の米女子ツアーや海外メジャーで活躍している選手たちは違います。例えば、今回も好スタートを切った山下選手は、決して飛距離が出るタイプではないですが、スタイルがまったく揺らいでいません」

 山下は1打差の3位と上々の滑り出しとなった。精密機械のような安定したスイングで、4番から4連続バーディー。9番パー5では第2打を2メートルにつけてバーディーを挙げるなど、特に前半は圧巻のプレーだった。

東尾「彼女もそうですし、古江彩佳選手などもそうですが『私はドローボールでしっかり攻める』という強い意志も持っています。レベルの高い選手が多いフィールドに入って目移りせず、自分のゴルフスタイルを極めていこうとする姿勢が、メジャーという大舞台での結果に繋がっているように感じます。

 これは、個人個人の技術的な強さや精神的な成熟に裏打ちされたものでもありますし、渋野日向子選手や笹生優花選手がメジャーで勝って『日本勢も十分に戦える』と示してくれたこともあると思います」

失敗を乗り越えるメンタリティ

9番でダブルボギーを打ったものの、初日を首位タイでフィニッシュした竹田麗央 【Photo by Oisin Keniry/R&A/R&A via Getty Images】

 首位に立った竹田麗央のラウンドぶりにも、感銘を受けていた。

東尾「バーディーを取りたい9番パー5でダブルボギーをたたいたのは、かなり痛かったと思うんですよね。第2打をOBとするという形も、ショックだったんじゃないのかなと。

 でも、そこから崩れてしまわずに、後半に4つのバーディーを奪い返すというのは、並大抵のことではありません。精神的な強さでしょうし、すでに何度もメジャーで優勝争いをしている経験、自信があるんだろうなとも思います」

 国内女子ツアーからのスポット参戦で、直前に出場が決まって急きょ渡英した桑木志帆のプレーにも、可能性をみてとっている。

東尾「まだ日本でプレーしていますが、スポットのメジャー参戦を重ねてすごくいい経験を積んでいるようにみえます。

 直近のメジャー出場となった全米女子プロ選手権では、わずか1打差で予選を通過できないという、非常に悔しい思いをしました。海外では少なくないのですが、同伴競技者のスロープレーに巻き込まれて、プレーリズムを保ちにくくなるという難しさに直面しての予選落ちでした。

 桑木選手と話をする機会があったので、全米女子プロ選手権のことを聞いてみました。『すごくいい勉強になりました』とすごく前向きに話していたのが印象的でした」

 普通なら引きずってしまいそうな失敗を、ポジティブな学びとして次に繋げる――。急きょの出場となった今大会にも前向きにチャレンジしていけるメンタリティ、経験値を持っていると、東尾プロはみている。

東尾「最終日は天候が悪化するという予報が出ています。強風の中でよりプレー精度が問われる状況になれば、ショットメーカーの桑木選手が急浮上してくる、という展開は十分にありえると思います。逆境を乗り越える力、メンタリティをつけてきていることも、上位争いの中では必ず支えになるはずです」

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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