週刊ドラフトレポート2025(毎週金曜日更新)

高校生屈指のスケールで制球力備えた大型左腕/完全試合達成右腕はプロ入りなるか

西尾典文

体幹の強さと高い制球力が長所の享栄・小山(左)。水戸啓明・中山(右)は水城戦では“完全試合”を達成 【撮影:西尾典文】

 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 今回は地方大会で敗れたものの、高いポテンシャルを見せた2人の高校生投手を紹介します。

高校生屈指のスケール!春から急成長を遂げた大型左腕

190㎝近い体格の享栄・小山はストレートに力強さがあり、高い制球力も誇る 【撮影:西尾典文】

小山隼和(享栄 3年 投手 188cm/93kg 左投/左打)

【将来像】大型の伊原陵人(阪神)

上半身の使い方と腕の振りは伊原とイメージが近い
【指名オススメ球団】オリックス
大型投手の育成が上手く、左投手の絶対数が少ないことから
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚

 甲子園出場は2000年春から遠ざかっているものの、中京大中京で夏の甲子園優勝を果たした大藤敏行監督が2018年に就任してから多くの選手をプロに輩出している享栄。そんなチームで今年有力候補になりそうなのがエースの小山隼和だ。入学当初から大型左腕として評判となっており、2年春からは主戦となっている。ただ昨年まではまだまだ体が細く、ストレートは130キロ台中盤程度と、ドラフト候補としてはかなり物足りない印象だった。

 スカウト陣の間からその名前がようやく聞かれるようになってきたのは今年の春からだ。冬の間に10㎏以上体重を増やしたことでボールの勢いもアップしたという。その成長ぶりを確かめるべく、7月23日に行われた愛知大会準々決勝の対東邦戦に足を運んだ。

 この試合で小山は1対1の同点で迎えた6回のワンアウト一・二塁から登板。立ち上がりに少しコントロールが甘くなり、2本のタイムリーとボークで3点を勝ち越されてチームもそのまま敗れたが、7回と8回は一人の走者も出さない見事なピッチングを見せてポテンシャルの高さをアピールした。

 上半身の力が強いフォームでステップの幅が狭いのは気になったが、無駄な動きは少なく、スムーズに前で大きく腕が振れるのが長所だ。体幹の強さは下級生の頃とは別人のようで、背筋を上手く使ってしっかりボールを抑え込むことができている。ストレートは立ち上がりからコンスタントに140キロを超え、最速は145キロをマークしたが、数字以上に打者の手元で勢いが感じられた。

 もうひとつ大きな成長を感じたのが制球面だ。この日は31球のうち、ボール球はわずかに8球であり、走者を背負った場面でもしっかりストライクに投げ込むことができていた。少しもったいなかったのは右打者にも左打者にも外角一辺倒になっていたところで、立ち上がりはそれが甘くなったところをヒットにされていた。もう少し内角に狙って速いボールを投げ込めるようになれば、投球の幅はさらに広がるだろう。

 プロ志望届を提出するかどうかはこれから考えるとのことだが、これだけスケールの大きい左腕で、高い制球力を備えているというのは貴重である。東邦戦にも多くのスカウトが視察に訪れており、プロ志望となれば獲得を検討する球団は多くなりそうだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント