「戦うことが、生きる力になる」 横田真一、53歳の挑戦とその原動力
2023年、2024年に続き、今年もトルコで1月に開催された2025年の予選会(QT)に挑戦。見事トップ通過を果たし、今季の欧州シニアツアーの出場権を獲得した。その行動力の裏にあるものは何か。メジャー大会であるISPSハンダ・シニアオープン(全英シニアオープン)の会場でインタビューを行うと、横田真一らしい率直で本音あふれる言葉が次々と飛び出してきた。
「競技がないと人生に張り合いがない」――挑戦の原動力
「欧州シニアで賞金王にもなった海老原清治さん、全英シニアにマンデーから何度も挑戦している奥田靖己さんとか、先輩方が楽しそうにヨーロッパの話をするんですよ。ジーブ・ミルカ・シンさん(インド出身で日本ツアー4勝)からも“賞金上がっているからおいでよ”って誘われて」
だが、日本にもシニアツアーがあり、YouTubeでも活躍している横田が、あえて“いばらの道”とも言える欧州挑戦を選ぶのはなぜか。
「ゴルフで勝負できるのはあと数年。だからこそ、悔いのないようにやらなければいけない。競技がないと人生に張り合いがなくなっちゃうんですよ。誰でもそうですけど、“戦う”ことって本能的に好きじゃないですか? 順位をつけられると、人って頑張れるんです」
さらに偉大なる大先輩の言葉を紹介してくれた。
「競技って、しんどいけど楽しいんですよ。ジャンボ(尾崎将司)さんが昔、当時の監督だった長嶋茂雄さんにお願いされて読売ジャイアンツで選手に向けて講演したとき、『無人島に行ったら、何があれば生きていけるか?』って問いかけたんですよ。ある選手がふざけて “女です”って答えたら、ジャンボさんは『違う。俺は“戦い”があれば生きていける』って言ったと。戦えている君らの今の時間というのはすごく貴重だということを伝えたかったと思うんですけど、僕、その話、すごく好きなんです」
過酷な環境で得られるもの――「人生の幅が広がる」
「自分はYouTubeもやっているので、ある意味“人生ネタ探し”みたいな感覚もあるんです。ヨーロッパに行っていた人の話を聞いているとホテルのチェックインができないとかあるらしいです。なんとかなるとは思いますが、最悪は野宿をするようなこともあるんですかね」と笑う。
「レジェンドツアー参加に伴い、今年は新規の方や元々の方が値上げをしてくださる方がいて、収入は増えています。ただ、今年値上げいただいた分は(経費などで)使いきってしまいました」と語る。
ではなぜそんなに環境的にも経済的にも過酷な環境に身を置くのか?
「自分にもある程度の貯金がありますし、赤字覚悟でやっている部分もあります。お金のためというよりも、自分はこういう場に出ないとサボっちゃうので。健康にも悪いでしょ? 飲んじゃうし(笑)。試合に出ると思うと、ジョギングしたり体力づくりをしたり、酒も控えるし、練習もする。試合に出ること自体が、自分が老けないためのいわば“アンチエイジング”なんですよ」
さらに続ける。
「人生の幅は広がりますよね。お金は後からついてくる部分もあると思うし。“金は天下の回りもの”とは言うけれど、実際にはかなりの出費で、大きな赤字。でも、これだけ多くの場所を訪れていれば、たとえば将来ヨーロッパにお客さんを連れてゴルフをしに行くということにもつながる。経験値としてはプラスなんです。だから楽しめるんですよ」