韓国人記者と議論する「日韓戦」の未来 見えてきたE-1選手権の限界に「定期戦の復活を」
日韓戦は見応えのある90分間だった。だが、これが本当の意味で両国の“代表”による勝負だったかというと、そうではない気がしている。そこで『Four Four Two』韓国版の元編集長で、現在はフリーランスのサッカージャーナリストとして活躍するホン・ジェミン氏とE-1選手権の存在価値や日韓戦のこれからについて議論し、両国のライバル関係の将来像を探った。なお、本稿では日韓戦について筆者は「日韓戦」、ホン氏は「韓日戦」と立場によって表現に違いがあることをご容赦いただきたい。
韓国人記者が嘆く韓国代表の現状
「両方チームとも組織力がほぼ期待できない状態でしたから、本来の『代表』同士ではなく、KリーグとJリーグでトップレベルの選手たちが基本的に持っているパフォーマンスを合わせて、どちらが上かを比べる試合だったと思います」
E-1選手権は公式戦ながらFIFAが定める国際試合カレンダーから外れており、代表チームに選手の拘束権がない。そのため欧米でプレーする選手たちの招集が困難で、日本代表は国内組のみ、韓国代表は国内組に一部のJリーグクラブ所属選手を加えたチームで臨まなければならない。
しかも、両国ともリーグ戦とリーグ戦の合間で活動することになり、準備期間はほぼなし。日本代表に至ってはチーム練習が一度しかできず、直近のリーグ戦から中2日という過酷なスケジュールで初戦に挑まねばならなかった。
厳しい条件が揃った中で互いに2試合を戦い、共に2連勝。優勝決定戦となった日韓戦で、ホン氏は日本と韓国の間にどんな差を感じたのだろうか。
「個々のパフォーマンスや実力に加えて、サッカーで重要なのは戦術をどう実践するか。3バックなのか4バックなのか、3-4-3、4-4-2、4-3-3など、提示された戦術を実戦で表現できる能力は、やはり日本の方がずっと上だと思います」
韓国代表は序盤からロングボールを多用してきたが、8分にジャーメイン良のゴールで失点した後はディフェンスラインからじっくりとパスを回して組み立てる戦い方にシフト。それが機能せず、ハーフタイム明けから再びロングボール攻勢を仕掛け、終盤は長身ストライカーを前線に2人並べるパワープレーも披露した。
日本代表を崩しきれなかったとはいえ、試合の中で変化をつけながら主導権を握る時間も作ったが、一体どこに問題があったのか。ホン氏は北中米W杯のアジア最終予選から低調なパフォーマンスを続ける韓国代表の現状に頭を抱えていた。
「ロングボールで押し込んでいくのもチームの能力の1つですし、50年以上続けてきた韓国らしさでもありますが、先に失点して、とんでもない体力でずっと走りっぱなしで追いつくとか逆転するとか、韓国のサッカーファンは2025年になってまでそういうサッカーを見たくないんです。
ちゃんとビルドアップして、ちゃんと崩しの形を用意して、ちゃんとチャンスを作ってゴールを奪うサッカーが見たい。韓国のサッカーファンは多くが毎週のようにプレミアリーグやUEFAチャンピオンズリーグを見ているからこそ、代表チームのこんな姿を見たくないと思っているのです。選手たちのクオリティ以上に、正直なところ韓日の監督やコーチングスタッフのレベル差はより大きいと思います」
盛り上がりに欠けたE-1選手権
日韓戦こそ来場者数は1万8000人を超えたものの、韓国代表の初戦(vs中国/◯3-0)は4426人、第2戦(vs香港/◯2-0)も5521人とスタジアムには空席が目立った。北中米W杯出場を決めた直後に行われた6月のクウェート代表戦が4万1911人を集めたことも踏まえると、ソン・フンミンやイ・ガンインらが不在のE-1選手権に対する注目度がいかに低かったかご理解いただけるだろう。
もう1つ付け加えると、直近10年間で6試合あった日韓戦のうち5試合はE-1選手権でのものだ。この大会を除いて両国が最後に対峙した公式戦となると、2011年のAFCアジアカップ準決勝まで遡らねばならない。ホン氏は「ソン・フンミンが韓日戦でプレーしたことがないのは、おかしいですよ。韓国で一番のスター選手が日本代表と戦ったことがないなんて……。オーバーエイジ枠で出場したアジア競技大会はA代表ではないですし、彼はE-1選手権にも出られませんから」と嘆く。