山口茜が初の実業団MVP、志田千陽と夢コンビで優勝導く

平野貴也

山口(左)が志田とのペアで活躍 【平野貴也】

 ドリームペアがチームを優勝に導き、大会MVPに輝いた。第75回全日本実業団バドミントン選手権は6月29日に決勝戦を行い、女子は再春館製薬所が6年ぶりに優勝を飾った。最優秀選手賞に選出されたのは、山口茜/志田千陽の即席ペアだった。

 ともに日本代表の主力。世界選手権2度優勝の山口は、主戦場のシングルスでも活躍。パリ五輪銅メダルの志田は、本来のパートナーである松山奈未とのペアで準決勝を戦ったが、松山が腰を痛めているため、準々決勝と決勝は、山口とのペアで戦い、勝利を飾った。

 準々決勝のNTT東日本戦では、5月の日本ランキングサーキットを優勝して日本代表に追加選出された鈴木陽向/山北奈緒にストレートで勝利。決勝のBIPROGY戦でも、混合ダブルスで五輪2大会連続銅メダルの五十嵐有紗が高橋美優と組んだペアを2-0で破った。大会は、2複3単で3勝を争う形式。シングルスに日本代表3人を擁する再春館製薬所に対し、ダブルスで2勝を挙げてプレッシャーをかけたいBIPROGYの方が緊張感が強かったという部分はあるにせよ、志田/山口はリラックスした状態で、事前に考えていた作戦を遂行。特に第1ゲームでは、攻撃の先手を取り、後方から強打とフェイントを打ち分けることで、前衛プレーを得意とする五十嵐にカウンターレシーブからネット前に入られる展開を避ける配球が生きていた。

志田や池田監督も絶賛した、山口の対応力

後衛から強打を放つ山口(右) 【平野貴也】

 仲の良い同級生ペアは、試合中も笑顔があふれ、コートサイドでは、プレー中に志田が「うまーい!」と叫ぶ声も聞こえていた。志田は「松山とは、ずっと組んでいるから、ここは前に詰めようとか、こうなったら(返球は)ここしかないとか(2人の連携で)互いに穴を埋めてやっている。何年もかけてやってきたところでもあるけど、その(相手の返球を予測して)張るところが(山口は)すごい上手。(強打で押し込む)パワープレーヤーではないのに(相手の返球を、次のショットでの)タッチの早さでつぶしていくのが(普段からこの種目を主戦場とする)ダブルス陣でもなかなかできるところじゃない、さすがだなと思いながらやっていました」と、本来はシングルスの選手である山口のプレーに驚いていた。

 山口は、準々決勝で組んだ際に「何かと志田が(相手の攻略は)やってくれるので、コートに入れておけば良いかなと思ってやっていた」と謙遜していたが、反応の鋭さを随所に披露した。シングルスでもよく見せる、横に跳びながら打球を捌くプレーで、シングルスよりもテンポの早いダブルスのスピードにも対応。志田が話した前方へ詰めるプレーだけでなく、前に入った志田の後ろに抜けた球を難なく処理する場面もあった。山口をダブルスでも起用した池田雄一監督は「楽しみでもあり、不安でもあったけど、すごかった。何でもできる(バドミントンの)スペシャリスト」と賛辞を惜しまなかった。決勝戦では、山口が第1ダブルスと第1シングルスの2試合を勝ち、優勝に大きく貢献。山口は「昨季は実業団選手権もS/Jリーグも、ケガでなかなか試合に出ての貢献はできなかったので、試合に出るとなったらしっかり戦おうという気持ちで来た。勝てて良かった」と笑顔を見せた。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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