B1仙台・志村社長が語る「Bプレミア仕様」のチーム作り GMの仕事が攻めから“守り”に変わる理由とは?

大島和人

42歳の志村社長。就任から6年目となる 【提供:仙台89ERS】

 仙台89ERSにとって、2024-25シーズン(昨季)は失敗と言わざるを得ない1年間だった。B1レギュラーシーズンの戦績は11勝49敗で、全24チーム中23位。入替のあるシーズンならB2に降格していた成績だ。2025-26シーズン(今季)のB1は2026年秋の「B.PREMIER」(以下Bプレミア)発足を控えて、過去最大の26チーム体制に拡大する。これによる特例で、昨季はB1からの降格がなかった。

 ただ仙台は希望のあるチームだ。既に初年度からのBプレミア参入を決めていて、ホームとなる「ゼビオアリーナ仙台」の改修もまもなく終わる。昨季終了後に獲得が発表された選手の名前を見ても「上」を目指す本気が伝わってくる。

 彼らが昨季から何を学んだのか。今のBリーグとBプレミアの制度をどう「解釈」し、答えを出そうとしているのかーー。宮城県出身で、元仙台の選手でもある志村雄彦社長がスポーツナビの取材に応じ、2025-26シーズンと「その後」に向けた戦略を語っている。(以下、コメントはすべて志村社長)

昨季の低迷はなぜ起こった?

 仙台は2018-19シーズンから3シーズンに渡って桶谷大ヘッドコーチ(HC/現琉球ゴールデンキングス)が采配を振るい、チームの「基盤」を作った。2021-22シーズンからの3シーズンは藤田弘輝HC(現大阪エヴェッサ)が指揮を取り、B1昇格も果たした。しかし昨季は指揮を引き継いだ落合嘉郎HCを中心とした体制がフィットせず、3月の指揮官交代も実らなかった。

 志村社長はこう反省を口にする。

「結果が伴っていないので、自分たちの作った組織がうまく行っていなかったと評価をせざるを得ません。これまでは桶谷、藤田と圧倒的なリーダーシップを持つヘッドコーチを中心にチーム作りをしていました。当時からクラブが永続的に強くなるために、誰かへ依存したチーム作りだと苦しいとは思っていました。でも彼らの能力が素晴らしいので、そこに引っ張られてしまっていました。改めて『組織』を強くしなくてはいけないと感じています」

 編成、選手たちのマインドセットについてはこう述べる。

「このリーグは外国籍選手の比重が非常に大きいと分かっていますが、最後まで自分たちの答え合わせがうまくいかないシーズンでした。編成だけでなく、戦術的なところもそうです。あと一つ難しかったのがモチベーションです。降格があった場合は勝手にガソリンが注ぎ込まれる(=危機意識から自然にモチベーションが上がる)状態になりますが、去年はそこも非常に難しかったです」

 コート内を見れば、オフェンスに明確な課題があった。

「今まで『GRIND(グラインド)』のスローガンを掲げて、DFを中心にしたチームを作ろうとしていました。だけどDFも全くできなくなってしまいました。そのスタートはオフェンスだと思っています。私たちは3ポイント(3P)を一番使えなかったクラブで、3Pシュートの成功率は最下位(30.2%)です。フィールドゴールの確率も低かった(編注:2ポイントシュート、FGの成功率はいずれも全体23位)。その悪循環から相手のポゼッションが多くなり、DFに影響しました」

補強ポイントはハンドラー、シューター

ジャレット・カルバーはNBAで通算144試合の出場歴がある 【Photo by Elsa/Getty Images】

 「GRIND」は2018-19シーズンからチームのスローガンとして掲げられている、仙台のカルチャーを象徴する言葉。「挽く」「細かく砕く」といった意味から転じて「コツコツ」「骨を折って何かに打ち込む」といった含みを持つ用語だ。守備マインドの強い「地道に頑張る」チームが仙台で、そこは引き続いて大切な部分だろう。

 ただし「ボールを安定して運ぶ」「シュートを決める」ところは相手のポゼション数、得点期待値に直結する部分。つまり攻守両面、勝ち負けに直結するポイントだ。補強ポイントは「ハンドラー」「シューター」となった。

 今季は渡辺翔太、岡島和真(山形ワイヴァンズから新加入)のPG陣に加えて、外国籍のジャレット・カルバーがハンドラーとして加わる。26歳の彼は2019年NBAドラフトで1巡目全体6位と高い評価を受けた198センチのウイングプレイヤー(SG/SF)で、ボール運びやインサイドへのドライブ、フリースロー獲得といった攻撃への貢献が期待される。

「昨シーズンの仙台はフリースローレーンに立てなかったですし、得点をクリエイトできる人材が少ないという課題もありました。そこは一番欲しかった人材でした」

 7月2日時点で「帰化・アジア枠」の1枠に入る選手は発表されていないが、そこもハンドラータイプと交渉を進めているという。

 シューター適性のある選手としては日本代表の「ストレッチ4」(3Pシュートの得意なPF)である井上宗一郎(前越谷アルファーズ)を獲得している。井上の存在によりネイサン・ブースへの依存度を下げられるだろうし、外国籍枠をハンドラーに割ける副次効果も生まれる。SF杉浦佑成(前横浜ビー・コルセアーズ)も含めてサイズがありつつ、3Pシュートを強みとするタイプが増えた。

1/2ページ

著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント