Bリーグと日本バスケ協会の「トップ兼任」はどう決まる? 異例の“二刀流”人事が持つ意味と背景
「任期制限」がポイントに
まずJBAは2022年11月の理事会で会長の任期を「最大4期8年」から、条件付きながら「最大7期14年」に延長していた。
通算7期まで再任可能とする条件の一つに「国際バスケットボール連盟の役職者である場合」と明記されている。これは間違いなく国際バスケットボール連盟(FIBA)のセントラルボードメンバーである三屋現会長を想定した内容だ。そのような項目をわざわざ追加していたにも関わらず、三屋現会長は理事会の選ぶ会長候補に今回ならなかった。
渡邊事務総長は「島田さん以外にどのような方が候補者になっていたかなど、その過程をここではお答えするのは控える」と前置きしたうえで、議論の内容をこう明かす。
「三屋現会長に関しましては、FIBAの要職にあるということで、規定上は7期14年まで(の任期延長が)可能でした。ただガバナンスコードの観点から言うと(会長任期の原則は)5期10年(以内)なので、そこが今回の検討で考慮された、議論されたことはあります」
彼の言及した「ガバナンスコード」とはスポーツ庁が2019年に策定した中央競技団体を対象にした基準。そこでは理事、役員の在任期間について上限を10年と定め、在任の長期化を戒めている。
付記するとBリーグはチェアマンの任期を最大4期8年と定めている。島田チェアマンは既にBリーグの「次期チェアマン候補」にもなっているが、規約の変更などがない限りは2026年9月からの任期がチェアマンとして「最後の2年」となる。
加えて島田チェアマンは既にJBAの理事も3期務めており、こちらの任期は最大「あと2期」だ。したがって島田氏がFIBAの要職に指名されるようなことがない限り、JBA会長の任期も「最大2期4年」となる。
渡邊事務総長にこの点を確認すると「選任されたことを前提に話すと、(最大)2期になると思います」とコメントしていた。
必要な次のリーダー育成
その後の年月を見ると、協会もリーグも強烈な「個」に依存する部分があったことは否めない。島田チェアマン、島田次期会長候補の後任が誰になるのかと問われても、衆目が一致するような人物はなかなか思い浮かばない。
ただ誰にトップになろうと、日本のバスケットボールは続いていく。三屋会長、島田チェアマンの任期は終わっても「その先」がある。この部分について、渡邊事務総長が興味深い発言をしていた。
「(24年)7月に候補者選考委員会が立ち上がりましたが、実は通常よりも半年くらい早く立ち上がっています。しっかり議論しなければいけない、理事会もある程度の期間をとって選任しなければということで、前倒しをしました。今回は島田さんがいいのではないかというのが選考委員会の意見でした。同じように議論されたのは『次の次』の会長候補を今から考慮した上での理事の選任をすること、そしてそういう作業を短期的にやるのでなく、常設的にやった方がいいのではないかという内容です」
「次の次」の会長を決めるのはそのタイミングの評議員会で、情勢の変化でその候補がフェイドアウトする可能性は当然ある。ただ理事として理事会の議論を経験するなど、次期会長としての「準備」をしておくことは間違いなく有用だ。これはJBAの会長だけでなく、Bリーグのチェアマンについても言える。
10〜20年前まで各競技団体のトップは主に財界人、元官僚や政治家が担う「名誉職」の意味合いが強かった。今もプロ野球(NPB)のコミッショナーはそのような人選が続いている。
しかし今のスポーツ界はコンプライアンスへの目配り、スポンサーセールス、放映権料収入の獲得と、競技団体のトップに求められる役割が増えた。
一方で「ガバナンス、ビジネスだけ」の仕事でもない。日本サッカー協会は宮本恒靖、日本バレーボール協会は川合俊一、日本ラグビー協会は土田雅人と競技のトップを経験した人材がそれぞれの会長を務めている。協会のトップは競技の未来に責任を負い、社会への「顔」にもなる立場。となれば知名度、認知度は大きな武器になる。バスケットボール界もそろそろ「バスケの人」がトップに立っていい。
「次の次」に向けて求められるリーダー像を議論し、候補者が準備を積める環境を用意するーー。それは日本バスケの未来にとって、極めて大切なポイントだ。