Bリーグと日本バスケ協会の「トップ兼任」はどう決まる? 異例の“二刀流”人事が持つ意味と背景
評議員会とは企業の株主総会に相当するモノ。47都道府県の代表が構成員の大半を占め、他にBリーグやWリーグ、各種団体の代表で構成されている会議体だ。決算、役員の選任について承認・拒否の判断を下す権限を持っている。
なお今回の臨時評議員会では会長候補に関して決を取らず、投票は9月末に予定されている「定時評議員会」で行われる。JBAの広報担当者からは「現段階では内定でも決定でもない。『評議員会が質疑、承認するための理事会案』としての候補である」と念押しもあった。
とはいえ理事会案が否決されれば、それはかなりのレアケースだ。そもそも6月28日の臨時評議員会が紛糾した様子はなく、メディアブリーフィング(記者発表)も「予定通り」の時間にスタートしている。全会一致か賛成多数かはポイントだが、会長人事案の否決は率直に考え難い。
会長とチェアマンの「二刀流」を認める判断
「役員候補者選考委員会は2024年7月に立ち上がり、規定の読み込み・確認、候補者の要件(の確認)やリストアップをしてまいりました。島田チェアマンが候補者に上がったところで、兼務が可能かどうかでした。まず法律上、両団体のトップを務めることに問題はないと確認いたしました」
今回の発表がサプライズと言い得る理由の一つは、協会とリーグのトップを『二刀流』で兼務させる判断だ。BリーグのチェアマンもJBAの会長も、当然ながら心身に負荷のかかる仕事。まず「業務量」が懸念材料として議論された。
「(兼務が)本当に可能なのか議論されました。一つは時間的に業務量がどれくらいあるか、本当にできるのか議論がされました。この点に関して、JBAは事務総長制を推進しております。理事会と会長は監督と経営に集中する。事務総長、事務局が執行を行う中で、執行の責任者は事務総長と分かれています。この段階でどれくらいのことがあるか分かりませんけども、業務量についても大丈夫だろうという結論に至りました」
記者の質問が集中したテーマは「利益相反」だ。もちろんBリーグとJBAは日本のバスケを盛んにするための組織で、基本的には仲間同士の関係だ。とはいえリーグ戦と代表活動のバランスはシビアな論点だし、財源の確保や分配を巡ってはライバル関係でもある。その論点について、渡邊事務総長はこう説明する。
「それぞれの役割、目的が違うところで、利益相反があるのではないかという議論もされました。利益相反に関してはその議決に加わらないですとか、そういったことをクリアすれば、兼務も可能ではないかという判断です。とはいえその案件で利益相反にあたることがあった場合どう対応すべきか、解決方法はどのようなものか、といった議論もされました」
Bリーグの理事会にはクラブの代表者も参加しているが、自クラブと関係のある議論や議決からは外れる。島田チェアマンがJBAの会長として承認された場合、議論や議決から「外れる」ケースは増えるだろう。
珍しい協会とリーグのトップ兼務
もっともジャパンラグビーリーグワンは、立ち上げのタイミングで森重隆・日本ラグビー協会会長が2カ月半ほど理事長を兼務していた。バスケでも川淵三郎氏が2015年5月から9月まで「協会会長」「プロリーグの理事長」を兼務している。
ただ当時はJBAがFIBAの資格停止処分を受け、組織の再建を短期間に進める「緊急事態」だった。JBAの理事は6名に絞られ、サッカー畑の川淵会長を中心にバスケ関係者を「排除」してかなり強引なリセットをしていた時期だ。プロリーグは開幕前で、Bリーグという名前さえなく、社団法人の理事もわずか3名だった。
つまり協会、リーグともスタートアップのタイミングで、速やかな意思決定が必須だった。今は協会もリーグも大きくなり、広い目配りが必要になった。となれば、前提条件が大きく違うことは指摘できる。
島田チェアマンがなぜ会長の指名を受け、何を成し遂げようとしているのかーー。そこは現時点で明かされていないし、そもそも現会長も含めてこの件での取材対応はまだ行われていない。会長就任が実現するという前提つきだが、それは9月末の理事会後に説明される。