欧州CL制覇、石川祐希が土壇場で「笑えた」理由 日本代表でも進化示せるか

田中夕子

【写真は共同】

 長旅の疲れも感じさせず、昨年8月の渡欧から10カ月ぶりに日本へ帰国した石川祐希の表情は充実感に満ちていた。

「チャンピオンズリーグという大きな舞台で、日本人男子としては初めて優勝することができた。勝ちや素晴らしさを感じると同時に、誇らしく思います」

 ペルージャでのシーズンを締めくくる最後の大会は、5月18日のチャンピオンズリーグ。「ひとつの目標だった」という欧州ナンバーワンを決める大会をクラブとして初制覇。シーズン終了後もペルージャに残って休養とトレーニングに努めた結果「2キロ増えた」という身体つきは、ポロシャツ姿でもわかるほどたくましさを増していた。

 目指したリーグ制覇とコッパイタリアでタイトル獲得に届かなかった悔しさをにじませながらも、さまざまな“チャレンジ”があったシーズンを振り返る中、チャンピオンズリーグを制した瞬間、マッチポイントで自身にサーブ順が巡ってきた際の心境を問われ、「攻める気で打った」と言う石川にとって、サーブはまさに、ひとつのチャレンジの象徴でもあった。

チャンピオンズリーグの「最後の場面」で

今季の石川は右手でトスを上げてサーブを打っていた 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】

 これまでは常にサーブを打つ際、左手でトスを上げ、右手で打ってきたが、今季からはペルージャのアンジェロ・ロレンツェッティ監督から、利き手の右手で上げるほうがトスは安定するのではないか、と変更を提案された。最初は「違和感があった」としながらも、もともとの利き手であるため慣れれば確かに安定する。ミスも減り、いいサーブが打てる確率が上がったと明かし、こう言い切った。

「でもチャンピオンズリーグの最後の場面では、左手でトスを上げてもいいサーブを打てたと思います」

 なぜそう思ったのか。そう問うと、石川はこう言った。

「あのシーンは左手でトスを上げ点もいいトスを上げる自信がありました。あまりいいことではないかもしれないですけど、“この1本”というときはド集中するし、集中したときのほうがパフォーマンスも高いのは間違いない。その大事な1点、というところに関して言えば、右手で上げても左手で上げてもトスは変わらなかったと思います。どうしても試合の中ではずっと集中し続けられるわけではなく、少し切れかける場面もあるんですけど、そういうときは右手でトスを上げたほうがコンスタントにいいサーブが打てる。でもあの場面は状況や技術は関係なく、とにかくこの1本、としか考えていなかった。パフォーマンスを発揮できる自信が僕はあるので、どんな状況でもあの場面ではいいサーブが打てた、と思います」

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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