電撃トレードで「心が晴れた」 元巨人・大田泰示が語る“解放”と「55」の後輩・秋広への思い
秋広への期待「背負ったのは彼の責任じゃない」
栗山(英樹)監督がまずは4打席しっかり使ってくれて、がむしゃらにボールに食らいついていくことを評価してくれました。スタメンが増え、結果も出るようになって、本当に毎日球場に行くのが楽しみでした。試合前にビジョンのスコアボードに自分の名前が出て来る瞬間がうれしかった。(巨人時代に)東京ドームで自分の名前が出た時もうれしかったのは覚えていますが、いつしかその気持ちが変わって、結果を出さないと2軍に落ちそうだとか変なプレッシャーを自分にかけていた部分はありました。トレードで移籍してチームが変わったことで、一瞬、一瞬が刺激的で楽しかったというのがプレーにも表れていたのかなと思います。
――技術やプレー面での変化は生まれましたか?
トレーニング法やバッティングの考え方は、知らなかった理論が結構多くて新鮮でした。ジャイアンツ時代に培った体力面、メンタル面の上に、プラスアルファで新しいものを取り入れることができました。選手間でコーチングできる雰囲気も良かったなと。見失っていた部分が、ファイターズに来て歯車が合い始めた感じでした。自分が思っていることを体現できて、なおかつ結果が出て、じゃあ次にどうスキルアップしてアップデートしていこうかといういい循環が生まれました。
――日本ハムでの5年間とは?
プロ野球選手としての良いところも、悪いところも、全てを感じられた5年間だったなと。レギュラーになっていく過程を経験でき、レギュラーになった時の心や体のしんどさも体感できた。レギュラーを取られていく瞬間も見た。5年間で、全てを見た気持ちです。
――巨人の背番号55の後輩である秋広選手もトレードで移籍しました。
秋広がこれで頑張れるようになってくれればいいし、きっかけを掴んでホークスで花開いてほしいと思います。55番だからどうだというのは、世の中の関心というだけなので。背負ったのは彼の責任でもないですし。今はただ、一選手として良くなってほしいなと思っています。
――とはいえ、トレードで誰もが局面を変えられるわけではありません。
トレードも、レギュラーを掴むのも、運とタイミングが重なるか重ならないかだと思います。毎年、選手の出入りがあるサイクルの中で、どこに自分の運が回ってくるか。そこでレギュラーを掴むかどうかの問題だけなんです。
――トレードで後悔しないためには、何が大切でしょうか?
やり切る。クビになる覚悟を持って、やり切る。自分が何をやりたいか、チームでの役割を全うして、ダメだったらやめられる覚悟があるかが、一番重要だと思います。自分の居場所を見つけて、それを逃さない努力。やり切ることが、後悔なく野球選手の幕を閉じる一番の方法なのかなと思います。
(企画構成:スリーライト)