1位指名も?160キロ大学生右腕が先発でも強烈アピール/リーグ戦未勝利腕が全国で躍動
今回は6月9日から15日まで行われた全日本大学野球選手権で活躍した2人の本格派投手を取り上げます。
「大学野球史上屈指のスピード!仙台六大学が誇る剛腕」
【将来像】大勢(巨人)
大型でも躍動感あふれるフォームとボールの勢いは大勢と重なる
【指名オススメ球団】ロッテ
益田直也に代わるクローザー候補として
【現時点のドラフト評価】★★★★☆
1位指名の可能性あり
以前のコラムでは同じ東北福祉大の桜井頼之介(4年 投手)を取り上げたが、桜井よりも早くから注目を集めていたのが堀越啓太だ。花咲徳栄時代は控え投手だったが、高校野球を終えてから大学に入学する間のトレーニングによって急成長。1年春のリーグ戦から150キロを超えるストレートを連発すると、そのシーズンに出場した大学選手権でもリリーフで最速155キロをマークするなど圧倒的なスピードを見せた。その後もリリーフとして投手陣の一角に定着し、持ち味であるスピードボールは投球練習では既に160キロを超えており、昨年秋には大学日本代表候補合宿にも召集された。
しかし今シーズンの堀越は決して順調だったわけではない。春先のオープン戦では先発転向を目指して多くのイニングをこなしたが、目立つような投球を見せることができなかった。筆者も3月に行われた三菱重工Eastとの試合に足を運んだが、160球を投じて完投したもののスピードもコントロールもリリーフの時と比べるとかなり落ちる印象だった。リーグ戦でもリリーフで登板した3試合は無失点に抑えているが、先発した仙台大戦では3回途中3失点と試合を作れずに降板している。
そんな堀越がようやく強烈なアピールを見せたのが大学選手権2回戦の東日本国際大戦だ。先発のマウンドを任されると、立ち上がりから150キロ台中盤のストレートで相手打線を圧倒。中盤になってもそのスピードは大きく落ちることはなく、6回を投げて被安打5、3四死球、10奪三振で無失点と見事に試合を作り、チームを勝利に導いた。
184cm、96kgという堂々とした体格だが、フォームに跳ねるような躍動感があるのが大きな特長。元々はサイドスローだったが年々腕の位置が上がっており、春先には完全なオーバースローだったところを、少しまた肘を下げたことで腕の振りがよりスムーズになったように見える。少し力を抜いても150キロ以上を楽にマークし、その出力の高さは今年のドラフト候補はもちろん、歴代の大学生投手でも屈指だ。
フォークを投げる時は肘の位置が高くなり、逆にスライダーの時は低くなるなどまだフォームが一定しないのは課題だが、ボールの力自体に圧倒的なものがあるため、打者も思わずボール球にも手が出てしまう。走者を背負っても球威が落ちず、勝負所でギアを上げられるというのも持ち味だ。
リリーフであれば即戦力という評価は得ていたが、大学選手権での好投で先発としての可能性も示したというのは大きなプラス要因である。比較的早く使えるパワーピッチャーが欲しい球団は多いだけに、1位指名の可能性も十分にありそうだ。